长假申请表

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                                                     编号:ACDS2011

        

 

第二篇:长假

第1回 「何だよ、この女!」 演出 永山耕三 '96年4月15日放送 第2回 「彼女の涙」 演出 永山耕三 '96年4月22日放送第3回 「彼の純情」 演出 永山耕三 '96年4月29日放送第4回 「君の噂…」 演出 鈴木雅之 '96年5月 6日放送第5回 「愛の告白」 演出 鈴木雅之 '96年5月13日放送第6回 「KISS」 演出 臼井裕詞 '96年5月20日放送第7回 「眠れぬ夜」 演出 永山耕三 '96年5月27日放送第8回 「別れの朝」 演出 永山耕三 '96年6月 3日放送第9回 「瀬名の涙」 演出 臼井裕詞 '96年6月10日放送第10回 「最後の恋」 演出 鈴木雅之 '96年6月17日放送最終回 「神様のくれた結末」 演出 永山耕三 '96年6月24日放送 脚本 : 北川悦吏子演出 : 永山耕三鈴木雅之臼井裕詞南 : おはようございます。瀬 名: おはようございます。南 : 朝倉幸平、この部屋に住んでいる朝倉幸平。瀬 名: 失禮ですけどどちら様すか?すみません、あのう朝倉さんだったら荷物まとめて出て行きましたけど。南 : 「出て行った」って、どこに?今日、私、結婚式なんですよ。10時からなんで、8時に来るはずなのにもう9時半になろうとする。朝倉さん来ないからこのままじゃ、私一人で結婚式あげるのとか思って、冗談じゃないわよ、なんで一人で結婚式あげなきゃいけないのとか思って。朝倉さん朝弱いの、だからね、「結婚式午後からにしちゃおうよ」と言ってたぐらいなの。寝てるよ、絶対寝てるに違いないよ。絶対寝てる。なんで、もう親せきとかも集まってるんですよ。家族とか親とか出てきてるんですよ。式10時からなんですよ、ってことはあと。瀬 名: あと30分。南 : ね、人ごとみたいに言わないでくれる?それより朝倉は、朝倉はどこに行ったの?瀬 名: さあ、お互いに干渉しない主義だったからわからないんですよ。南 : 困るな! 式10時からなんだよな。今9時半、ってことはあと30分!?瀬 名: それは今聞きました。南 : そうよ、ところであなた誰?瀬 名: 僕はだからその朝倉のルームメートの瀬名です。でももう朝倉さん、荷物持って出て行っちゃったからルームメートじゃないんですけど、そんなに僕をにらまないで下さい、関係ないんですから。南 : じゃ、どうしたらいいの?瀬 名: なんか手がかり!?南さ

んですか?南 : なんで私の名前?瀬 名: いや、手紙書いてあるから。あ、俺いないほうがいいですね。南 : いや、ちょっと、ね! 出だしだけ目通してくれない?やっぱり自分でやる。あ、やっぱり、でも自分で。やっぱり目通して。視覚で見るとショック大きそうだから。瀬 名: 視覚ってなんですか?南 : 目で見るってことでしょう、バカじゃない?瀬 名: そうですけど、耳で聞くと「空耳」ってあるかも知れませんね。南 : あ、ちょっと待って! OK。瀬 名: あのう南 : 最初が「あのう」!?瀬 名: いや、そうじゃなくて。先からあなた僕に対して態度すごい大きいと思うんですよ。別にいいんですけど、今大変な時でしょうし、その手。じゃいきます。「親愛なる南へ。すまない南」南 : いきなりすごいじゃん。瀬 名: いや、この先もっとすごそうなんで覚悟しといて下さい。南 : OK。瀬 名: 「僕はある女性と戀に落ちてしまった。彼女は僕がいないと生きていけないタイプだ。君は僕がいなくても100万年でも生きていけるタイプだ。だから君の前から突然姿を消す、君との結婚なかったことにしてほしい、すまない。」南 : もういいよ。瀬 名: もう終わりです。南 : え! もう終わりなの?私はカメじゃないよ。瀬 名: はい?南 : 100万年、郡い、たばこある?若い! いくつ?瀬 名: 4です。火、灰皿ちょっと。はい。南 : すみません、南ですけれど。瀬 名: この部屋に他に誰がいるんだよ。あのう、トイレだったら今かわりますか。南 : いえ、あのうそうじゃなくて。私ちょっと思いついたんですけれど、あんたひげ剃ってシャワー浴びてキレイにできると思うし、ですからここはひとつ。瀬 名: ここはひとつなんですか?南 : 私と結婚して下さい。瀬 名: 勘弁して下さいよ。すみません。あのう、はっきり言いますけど、あなた今パニックで 取り乱してると思うんですよ。俺「花むこ」の代わりなんかできないし、ほら関係者の人だってたくさん来てるでしょう。南 : そうか。瀬 名: だからあのう、ここはひとつ、式場に早く戻って善後策考えたほうがいいですよ。「花むこ」だって戻ってきてるかも知れないし。南 : そうだよね、そうだよね。あ、寝てるとこ郡かったね。瀬 名: 僕ももうそろそろ起きなくちゃいけなかったから。南 : お勤め?瀬 名: いや、これあのう、ピアノ。南 : 弾くの?瀬 名: 今日あのう、ピ

アノ?コンクールなんですよ。南 : コンクール! じゃーね。瀬 名: あのう、これ頭忘れてますよ。南 : サンキュー。瀬 名: あのう、お金、持ってます?南 : うーん。瀬 名: タクシー代。南 : 式場すぐ近くだから来る時も走ってきた。瀬 名: でも、人に見られますよ、これだもん。南 : サンキュー。きっと返すから。瀬 名: いいです。いいです。南 : じゃーね。コンクール、コンクール頑張ってね。第1回 何だよ、この女!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: ね、どうする、東京帰る?ルミ子: ガソリンないよ、お金もないし。真 二: あ、そう。勝負だ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お久しぶりです。瀬 名: どうも。南 : あれ! わかんない?この間。瀬 名: あ、この前あのう、カツラの。ずいぶん感じ違いますね。南 : あ、そーう?南。瀬 名: どうでした?南 : あのうね、式場戻ったら来てた。瀬 名: やっぱり。南 : そう、やっぱり。よかった戻って、あなたの言う通り。瀬 名: 言ったじゃないですか!?南 : ね、本当。瀬名さん! 瀬 名: セナって上がってもらえます?セナって。南 : あ、私南。結婚したら朝倉南。瀬 名: はい?南 : 知らないの?朝倉南。瀬 名: あ、マンガ。南 : そう、マンガ。瀬 名: 今日どうしたんですか?南 : あのうね、うちもうすぐ裏のほうんでね 散歩、犬の。瀬 名: あ、犬の散歩。南 : 今ちょうど放しちゃったとこ、今そのへんで走ってるんじゃないかな。あれ、うちのジョウかな。ジョウ、ジョウ! 瀬 名: 何かってるんですか?南 : 秋田犬。じゃーね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: はい。はいはいはい。あのどちら様ですか?南 : こんにちは。瀬 名: なにか?南 : あのね、タクシー代。瀬 名: あ、いいのに、そんなわざわざ。南 : いやいやほら。借りは借りだから。瀬 名: あのう、これ。南 : 食事中?瀬 名: いや、これからなんですけど。南 : ごめんなさい。瀬 名: じゃー何するんですか?南 : お願い。瀬 名: 何が?南 : 一生のお願い。瀬 名: だから「何が」って聞いてるでしょう。南 : 引っ越してきていい?瀬 名: 誰が?南 : 私が。瀬 名: どこに?南 : ここに。瀬 名: なんで?南 : なんで?今「なんで

」って言った?絶対「なんで」って言たよね。事情を聞く気があるってことだよね。「ダメ」じゃなくて「なんで」って言ったよね。瀬 名: 何言ってるんですか?あんた。南 : 南! 瀬 名: はい?南 : 「あなた」じゃなくて「南」葉のオの南。瀬 名: あ、名前ね。南 : そう、南、事情だけでも聞いてみる気ないか?荷物! 瀬 名: あ!くつ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: それで?南 : 私は自分のマンション引き払って貯金は全部「結婚式及び結婚後の新居の資金に」って朝倉に渡しちゃったわけ。瀬 名: それで?南 : それで、それ持ってあいつ逃げたでしょう!?つまり早い話しが私一文無し。瀬 名: それで?南 : それで、むりやりマンション引っ越すの待ってもらってたんだけど、だけど新しく借りる人たちが来ちゃうっていうから大家に追い出されたっていうの。瀬 名: それで?南 : 友だちんとこへ行こうかなとも思ったんだけど、結婚してるでしょう、ワンルームでしょう、男がいるでしょう。はい! 引越屋: どうするの?この荷物。南 : 今、決着つけますから。瀬 名: 決着ってなんですか?それ。南 : もうなす術もなくドラックに荷物をのっけてね、「どこに行こうかな」と思っていたら。瀬 名: それで犬の散歩でここに来たわけだ。南 : そういうことかな。だってここ二人で住んでたんでしょう、それに女っ気なさそうだし。瀬 名: 誰が?南 : いや、言ってみただけ。これ見よがしにため息つかなくたって、私はあの結婚式以来なん人の人にため息つかれてきたか、いなかのおばあちゃんでしょう、おじいちゃんでしょう、お母さんなんか泣いてたし、お父さんが瀬 名: 泣いてくれるようなお母さんがいるんだったらなんでいなかに帰らないんですか?南 : あなた東京の人?瀬 名: そうです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 全然ダメいなかといったってね、やつ墓村みたいなんだよ。結婚式に「花むこ」に逃げられた娘なんて忌み嫌われて石投げられて、樽ん中宙づりにされちゃうんだから。瀬 名: それ知ってますよ、あのう、でしょう。南 : ブー! やつ墓村じゃないの。引越業者: お姉さん、これどうする?南 : ここ、ここ3階。南 : OK、サンキュー、腰痛い?大丈夫?ご苦労さま。ありがとうね、サンキュー、ご苦労さま。瀬 名: い

いですか!?とりあえずですからね。とりあえず。わかってます?南 : はい、あてができたらすぐに、お金ができるか、男ができるかしたら、すぐに。あと、安心して。私、年下には1ミリも興味ないから、あなたを襲うなんてことないない。瀬 名: 僕もあのう、年上には1ミクロンも興味ないですから。南 : 言い切ったね。瀬 名: でもあのう、年上にもよりますよ。ちゃんと大人の女の魅力持ってれば。風吹ジュンさんみたいのだったら。なんか僕地雷踏みました?南 : 大丈夫。ガキにはわからないか。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : だけどさ、桃ちゃんはさ、半端じゃないお金持ちの「玉の輿」に乗るんでしょう。理想と違うね。桃 子: ああ、もちろん結婚相手とは違いますよ。だって、生まれてから死ぬまでに何人の男と寝られるかわからないじゃないですか。先輩! パンツきついんでしょう。南 : これ血がとまっちゃうだよ。寝られるかってさ、普通はね「生まれてから死ぬまでに何食食べられるか」って言うんだよ。それでまずいものは「食べたくないね」って。普通はそういう話しだよ。桃 子: 同じことです。南 : 同じじゃない。桃 子: だからやっぱり、いい男見たら、とりあえず寝たいじゃないですか!?南 : 人の話しを聞け。桃 子: ねえ! 南 : 「ねえ」ってもう、桃ちゃんの頭ん中どうなってるんだろうね。桃 子: ピンクの象がいっぱいいるんです。南 : 「ピンクの象」! 桃 子: ラブラブ桃子ってことですよ。南 : あれ! 桃ちゃん、時間いいの?エアコンのスポンサーと会うと言ってたじゃん。桃 子: まだ、大丈夫です。南 : もう、5時だよ。桃 子: え! ウソ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : すみません。瀬 名: あ、モデルなんですか?南 : え?瀬 名: 仕事。南 : ああ、まあ、ちょっとしたモデル! 「アンアン」とか見ないか?瀬 名: はい?「アンアン」?そういうのわからないから。南 : 別にモデルやりたかったわけじゃないんだけど、短大ん時にね、ミス日本の3位になっちゃって、スカウトの人が来ちゃって、自慢話しみたいか。瀬 名: みたいじゃなくてそうでしょう。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: これで大丈夫ですよ。南 : サンキューです。瀬名君もさ、コンクールって言ってたけど、ピア

ニスト?瀬 名: まあ。南 : 本当、ピアニスト?ウワー、生身見るの初めて。ほら、テレビとか映画でしか出てこないでしょう。どんな生活?瀬 名: 別にあのう、大したことないんですけど、たまに自分のリサイタル、やったりとか、あとはそれ以外練習してるかな、家とか学校とかで。南 : 学校って大学?瀬 名: いや、大学院です。南 : すげー!リサイタルってどこでやるの?瀬 名: あのう、東京だったらサントリホールとか。南 : 知ってる、そこ。クラシック好きな友だちいるんだけど、よく行ってるよ。私は行ったことないけどね。すごいんだね。瀬 名: 自分だって「アンアン」のモデルじゃないですか。南 : あ、ああ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: なに、これ! なんだっけ!?すごい懐かしい。南 : ガチャガチャとかやった?100円入れるやつ。あれで出てきたの。朝倉って子供みたいなとこあってさ、変なもん好きだったんだよね。酔っぱらって街で見かけると必ずガチャガチャってやるの。こんなもんぱっかたまっちゃってね。瀬 名: もう、お出かけですか!?こんなところに「アンアン」が... 1980円! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : もうちょっとまともな仕事ないんですか?エキストラみたいなのとかスーパーのチラシとかそんなのばかりじゃないですか。担当者: 今日のチラシ評判よかったよ。南 : 何なら、私ちょっとくらいだったら肌出したって、水着もOKですよ。日焼けサロン変えましょうか?担当者: 勘弁して下さいよ。自分をいくつだと思ってるんですか?そんな仕事あるわけないでしょう。結婚して引退するんじゃなかったの?社 員: あ、南さん! 新婚旅行もう帰ってきたんですか?[南: 結婚して引退するはずだったんでしょう!?][瀬 名: 23歳の旋律!?]~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~佐々木: あ、そうだ、この間のコンクールの結果まだ出ませんか?瀬 名: ええ。まだ。佐々木: 瀬名君の場合はね、上がるというんじゃなくて聴き手との間に壁を作ってしまうんです。瀬 名: 僕は誰かのためにピアノを弾いたことがないんですよね。いや、あのう、ピアノ自体はすごく好きなんですけど。誰かに聴かせるというふうには弾いたことはないです。佐々木: 来月大学院の定期演奏会があるんですよ。練習、のぞいて行きませんか?

瀬 名: いや、遠慮しときます。佐々木: じゃ。西館のピアノ室ですね。あのピアノは?瀬 名: 奥沢涼子かな。佐々木: 彼女はまだ大学2年生なんですが、若手の注目株です。でも、僕は評論家的な評価よりも彼女のピアノ自身/自体が好きですね。あたたかくてやさしくて、我流があって。なんというのかな、寒い日にようやくたどり着いたシチューみたいですね。それじゃ。瀬名君! 瀬 名: はい。佐々木: いつか、壁を取っ払って下さい。瀬 名: はい。佐々木: じゃー。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お帰り。瀬 名: どうしたんですか、これ?南 : テーブルなかったから。瀬 名: いや、そうじゃなくて、これ。南 : 引き出物、結婚式の引き出物。「重いから持ってくるのどうしようかな」と思ったんだけど、これけっこうおいしいし、おしゃれだし、瀬名君結婚する予定ない?そしたら、6ガケで売ってもいいんだけど。瀬 名: ないです。南 : 飲もうよ、せっかくだから一緒に。あれ、あけてみようか。19xx年... 瀬 名: 65年じゃ高いじゃないですか!?南 : すごい高い、でもいいや、今日特別、あけて! ピアニスト。しかしさ、順風満帆だよね。顔もいいしさ、ピアノも弾けるしさ。女、ね、女は?女はどうなの?教えて。私おやじくさい。瀬 名: もう飲まないほうがいいですよ。南 : 大丈夫、大丈夫。これ全部飲んだら気持ちにケリついちゃうから。南 : ふうん、涼子ちゃんと言うんだ。瀬 名: いいじゃないですか。南 : オ、ク、サ、ワ、リョウコちゃん。ハート! で、つきあってるの?瀬 名: いや... 南 : なんだ、片思い?瀬 名: これからですよ、これから。南 : なれめは?瀬 名: あのう、1年ぐらい前かな。僕が大学にピアノ弾きに行ったんですよ。そしたら彼女が弾いてて、僕に「どうぞ! 」ってゆずってくれたんですよね。南 : で?瀬 名: その彼女の「どうぞ! 」って言うのがすごいよかったんですよ。南 : なに?ちょっとやってみな。わからない、早く! 見せな。瀬 名: だから、僕が弾きに行ったら、彼女が先に弾いてて... 「あ、どうぞ! 」って言ってくれたんですよね。南 : ちょっと面前でやってご覧。私、ここ瀬名。瀬 名: 僕がそのリョウゴちゃん。目があって「ごめんなさい、どうぞ! 」って... 南 : けっこうドキドキしたかも知れない、もう一回やってみて。もういいよ、「どう

ぞ! 」たった3文字!?すごい「省エネ」なんでそれだけで好かれちゃうわけ?「どうぞ! 」でいいんだったら私、「どうぞ、どうぞ、どうぞ...! 」瀬 名: また、僕なんか地雷踏みました?でも、いつもけっこう似合ってますよ。ルミ子: どこ電話してるの?真 二: いや、ちょっと、ダメだ。瀬 名: 切れちゃった。南 : へえ、リョウコちゃんだったりして。瀬 名: まさか。南 : そうだ、せっかくこんな立派なピアノあるんだから、なんか弾いてみて。瀬 名: いや、人前じゃちょっと。南 : いいじゃん。瀬 名: いや、郡いけど... 酔っちゃってるし... 南 : へー まあ、いいか。知ってる?19xx年ってね、私が生まれた年なんだよ。結婚式の夜にね、朝倉が 「二人であけようね」って言ってたの。「君と同じだけこの世にいる」とか言っちゃって... 27の誕生日にね、私一人だったの、男と別れて。「今年は誕生日一人かぁ... なんて思っていたら」夜中の12時に朝倉から電話がかかってきたの。瀬 名: 夜中の12時!?南 : 私が生まれた日になった瞬間。「一番先におめでとうって言おうと思った」って。それから、つきあいだしたのね。それから28、29、30って3回誕生日來たけど、いつも午前0時に誰よりも先に「おめでとう」って言ってくれた。そんなのが、ずーっと続くと思ってたな。おめでたいね。ごめん! しんみりしちゃった。瀬 名: あ、いいもん見せてあげるよ。いい?南 : どうするの?瀬 名: これを落とすの。南 : それで?瀬 名: それだけ。南 : なにが面白いの?瀬 名: 投げたらちゃんと、ここまで戻ってくるの。南 : ウソだね。瀬 名: 本当だよ、本当。南 : 3階だよ、ここは。瀬 名: 3階でもちゃんと、戻ってくるの、じゃ... 見ててよ。本当だから、いい?いくよ。南 : ウーソ! なんで?貸して貸して。やってみていい?ちょっと、勢いつけたほうがいいよね。瀬 名: まっすぐ、まっすぐ。南 : いくよ。ウソ、なんでこんなこと知ってる?瀬 名: 昔、やって遊ばなかった?南 : やらないよ。これってさ、おもいっきりやったら、ここよりずっと高く上がるかな。ちょっとやってみる。瀬 名: でも、気をつけてよ。南 : 3、2、1。南 : いいよ、いいって。瀬 名: 大事なもんじゃん。南 : 大事じゃないよ、大事じゃない。飲むよ、続き。あけるのどこ?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

南 : お帰り! 瀬 名: あのう、カギしめといたほうがいいと思いますけど。南 : あ、ごめん、ごめん。電話あったよ。瀬 名: え?南 : 電話。瀬 名: 電話って、取ったんですか?南 : はい。瀬 名: いや、「はい」じゃないでしょう。決めたじゃないですか、電話は一切取らないって。お互いの部屋には絶対入らないって... 南 : はい、お風呂は7時から9時までが私、10時からが瀬名さん、温泉の露天風呂みたい。瀬 名: なんで取ったんですか?南 : いや、でてあげようかなと思って... 瀬 名: なんでそんなこと思うんですか?だってちゃんと留守番になってたでしょう?南 : だって留守番だと切っちゃうかも知れないし... 瀬 名: はい?誰が?南 : 誰ってことはないけど。瀬 名: はい、メッセージ。メッセージ、再生して下さい。南 : 奥沢さんって人から。瀬 名: 奥沢?南 : 奥沢涼子さん。瀬 名: 涼子ちゃん?南 : たぶん、あなたの好きな涼子ちゃん。瀬 名: それで?南 : 「瀬名さんいますか」と聞かれたので、「まだ帰っていません」と答えました。瀬 名: そしたら?南 : 「じゃー、いいです」ってガチャン。瀬 名: 初めて家に電話あったのに。南 : 女と思われたかな?瀬 名: たぶんね。南 : 弁明します。瀬 名: けっこうです。だいいちこんな状況どうやって説明するんですか?南 : 用件2件目です。瀬 名: まだあるの?南 : 「芸秀院新人音楽会ゴンクール審査委員会」あ、言えた。から電話があって、この間のゴンクールの結果、残念ですが... ということでした。たぶん、私が初めてここ來た時のゴンクールだね、きっと。瀬 名: きっとそうですね。花嫁の衣装着て、あの扉の前に立ってた時ですね。南 : 残念だったね。瀬 名: 伝言、どうもありがとうございました。南 : いや、どういたしまして。ちょっと待って。瀬 名: まだあるんですか?南 : もう一個。音楽教室の佐々野 竜之介君のお母さんという人から電話があって「明日のレッスンは風邪をひいてるので休ませて下さい」以上でした。瀬 名: どうも。南 : あのさ、私にウソついてたことだったら気にしないでいいよ。瀬 名: ウソ!?南 : ほら、サントリーホールでリサイタルやるピアニストって、だって音楽教室。瀬 名: あんたに関係ないでしょう。ほっといてよ。南 : ね。気にすることないって、私ね、クラシック好きな友だちに聞い

てみたの。「瀬名っていうピアニスト知ってる」って、そしたら、知らないって言ってたから、おかしいなと思ってたの。でも、なんというの安心したというのかな、ほらいつもそばに、ちょろちょろいる人がそんなえらい人だと肩こっちゃうというか居心地悪いというかさ、あ、お金、ね、気にしなくていいよ、家賃、来月から半分入れるし、私、あ、トロフィーすごい! 瀬 名: 入ってくるなよ。南 : 瀬名君、落ちこんでるんじゃないかなと思って、元気つけてあげようと思ってたの。瀬 名: 余計なお世話です。人のプライバシーに首突っこまないで下さい。南 : 電話取ったのは悪かったと思ってるよ。だけど、そんなカリカリくることないじゃないの。しょうがないじゃん。落ちたもんは落ちちゃったんだから。瀬 名: なにが?南 : ゴンクール、また受けりゃいいじゃん。瀬 名: 4年に1度しかないんですよね。南 : かっこつけちゃってさ。瀬 名: 自分だって何が「アンアン」モデルだよ。イチキュッパの割烹着着て。南 : あ、地雷踏んだ。瀬 名: こっちだって踏まれまくりです。だいたい人に干渉されるの大嫌いなのになんで男に逃げられた30女と一緒にいなきゃいけないのかわからないよ。南 : 今、核ミサイルの発射ボタン押したね。よくわかったよ。出てくよ。ね、出てく。出てく。出てきゃいいでしょう。出てく。じゃーね。瀬 名: 4月15日って、今日誕生日だ。南 : 残りはあんたがいない時に取りに來ますから。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : いつも誰よりも先に「おめでとう」って言ってくれた。そんなのがずーっと続くと思ってたな。瀬 名: ね! 南 : 何?瀬 名: 戻れば。南 : 何言ってるの。急に。瀬 名: だって朝倉さんからの電話待ってるんでしょう。南 : 関係ないでしょう。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 人前で弾かないんじゃなかったの?瀬 名: クリスマスと誕生日は特別。待っるんでしょう。電話。南 : 待ってるとしたら?ここしかないじゃん。でも、一日無駄にした。瀬 名: 4月15日終わってないじゃん。南 : ありがとう。瀬 名: 早く出なよ。なにやってるんだよ。南 : はい。もしもし。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 間違い電話。いかれたやつ。ルミ子: こんにちは。南 :

何?どういうこと?なに、突然、5年だよ。5年、音さたなくて、あんたお母さん心配してたよ。真 二: いや、久びさに家に電話したらさ、姉ちゃん、結婚決まったっていうからさ。お祝いにかけつけたってわけさ。南 : それ、いつの話し?真 二: いつって、半月ぐらい前かな。南 : そん時からずいぶん事情は変わってるだよね。事情! 真 二: 事情?どういう事情?あ! これ、結婚祝い。ルミ子: おめでとうございます。南 : どういたしまして。あのね、違うんだよ。これはさ。真 二: あんたが朝倉さん?いい男じゃん。まだ若いんじゃないの?ね、スリッパどこ?スリッパ。南 : なんで、あんた靴脱ぐの?ルミ子: おじゃまします。真 二: いくつ?瀬 名: 24です。真 二: あっ、タメだわ。タメ、タメ年。よろしく、お兄さん、しかし、ボランティアの域だよね。24の身空で、30の女と結婚するというのはさ。南 : 今日から31だ。ボケ、なに上がってるの。スリッパなんか履いて。真 二: ねね、このひとね、今はこんなだけどさ。南 : どんなだよ?真 二: 若いころは。南 : 今だって、若いもん。真 二: 言っちゃうぞ。お前。南 : 何、言ってみな。真 二: 言うか?南 : 言ってみな。真 二: ミス長良川くだりだったんですよ 瀬 名: ミス長良川くだり?真 二: 応募者7人だったけどね。瀬 名: ミス日本じゃなくて?真 二: まさか、あれだって、市長とうち親父がほら、なんだ、あのう、昔からの知り合いでさ。なんかのど渇いちゃったな、俺。ねね、なんかビールかなんかある?ビール。瀬 名: ごめんなさい。きづかなくて。南 : いい、これでいいわ。充分。すぐ返すからね。瀬 名: やっぱり似てますね。南 : え?瀬 名: 性格、やっぱり兄弟だからかな。あ、そうだ。ミス長良川くだりさ。これも一応、お客さんだから。南 : すぐ返すからね。汚い手で触るなよ。真 二: ドラエモンでも弾けるピアノ、なんちゃって。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: 「以下省略」。瀬 名: いや、すごい! 真 二: ビールちょうだいよ。南 : いいから、飲みな。真 二: まあ、いいか。兄さん、今日あの、祈り入って話しがあって來ました。実はこの半月で、一生のツキ、使い果たしたってくらいついててさ。最近は「パチンゴ」でしょう、「競輪」、「カジノ」などなど。で、最後「宝くじ」1千万! で、

こいつ店やろうってさ、こいつね、これでも、あの、インテリアデザイナ... の卵!?で、いい物件あったからさ、とりあえず、手付け払ったの。そしたらさ「宝くじ」組違いでさ、俺としたことが... お兄さん! 結婚してすぐになんですが、かわいい弟のために一肌脱いで、いただきたい、ご都合願えませんか?瀬 名: ご都合って?真 二: うん、あの、だから... もう200万でまけちゃう。南 : やめな、みっともない。バカじゃないの。あんた、5年たっても何も変わってないね、「樂してもうけよう」とか「いい思いしよう」とか、そんなことばっか考えてるんでしょう。真 二: 何するんだよ?南 : この人はね、お兄さんじゃないの。朝倉さんじゃないの。あんたのお兄さんなんか、どこにもいないんです。真 二: じゃ、朝倉さんはどこにいるんだよ?南 : んなの、私が聞きたいんだよ。真 二: じゃ、こちらは?瀬 名: だから、その、お兄さんじゃない、朝倉さんのルームメートの瀬名です。真 二: まずいよ。南 : 何?真 二: いきなり、若い男に乗り換えちゃったわけ?南 : そうじゃない。真 二: そうじゃない?南 : 私が逃げられたの。私が結婚式当日「花むこ」に逃げられたの 第2回 彼女の涙~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: あの、昨日さ、電話、女の人出なかった?涼 子: そうでした。瀬 名: あれ、全然関係ないからね。涼 子: え?「関係ない」って?瀬 名: なんというかな、親せきのお姉ちゃんみたいなもんだから。あ、ごめん。続いて、じゃ。涼子ちゃん! 涼 子: はい?瀬 名: 今日ヒマ?涼 子: え?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~担当者: スイッチを入れるでしょう! そするとプルプルするでしょう。大胸囲を刺激するわけだ。桃 子: へー! 感じたりしないんですかね?担当者: いや、僕男だから、わかんないな。それでね、2週間ぐらいで效果が現れると...え、30代からのバストケア、向上き斜め45度の理想のバストを取り戻す。南 : これのモデル「私にやれ」っていうんですか?担当者: うん、体験モデルっていうのかな。あのう、毎日角度計ってそれをつけてくの。でも、大丈夫よ。ちょっと貸して、この状態で... あれ! 写真写るな。桃 子: ミラクル、バストアップ... 南 : お断りします。こんな仕事やれません。やりません。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: 結局、スッちゃいましたね。あん時やめときゃよかったですね。ほら、二箱たまった時。南 : やっぱり人違いだったのかな。桃 子: え! 朝倉さん。南 : ここ、二人で來たことあるんだよ。桃 子: 戻ってきたら先輩、許してあげるんですか?南 : お腹すいた。いい店行くよ。店 員: いらっしゃい! 何しましょう?涼 子: 先輩は?瀬 名: チャーシューメン。涼 子: じゃ、私も。南 : こんにちは。私南です。お名前なんというんですか?キレイ! お肌プルンプルン。近くで見ててもいいですか?モモコ: ごめんね。この人酔っぱらっちゃってるから。瀬 名: 見りゃわかるじゃん。南 : セナ君、怒ってるよ。桃 子: ガンガン弱いのに飲んじゃって、いつもはこんなことないんですけどね。南 : これ、あげちゃおうよ。二人にあげちゃおうかな。はい。はい。ラブホテルの半額チケット。なんだったら、お姉さんが半額出してあげてもいいよ。セナ君にはお世話になってるし、だってあれでしょう?毎度毎度。狭い部屋じゃ、感じてないでしょう。ね?二人とも若いし、エッチが樂しくて樂しくてしょうがない時期じゃない?だから、ここはひとつ、プールとブランゴのあるお部屋で二人っきりのワンダーランド。瀬 名: いい加減にしろよ。涼子ちゃん。涼子ちゃん! 涼 子: 今日は樂しかったです。ありがとうございました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 本当にわからない人だな。南 : え?瀬 名: こんな無心経だから、男に捨てられるんだよ。ガサツだから人の気持ちとか状況がわからないんだよ。南 : どういうこと?瀬 名: 涼子ちゃんはね、あんたと違うの。心の中がね、繊細なの。降ったばかりの雪でできてるんだよ。あんたみたいにさ。人に踏まれて、人の足あとだらけになってないの。南 : わるかったね。足あとだらけで。汚くて、誰も滑りたくない竹の小山のゲレンデみたいなもんだよね。なによ、自分こそかっこつけちゃって、好きなんでしょう?ね?好きなんでしょう?だったら、ホテルでもなんでも、行きゃいいじゃん。行きゃいいじゃん。瀬 名: あんた、女だろう?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 桃ちゃん、寝た?桃 子: いいえ。南 : 桃ちゃん! 私ってガサツ?私って。「あんた、女だろ

う?」って感じ?足あとだらけの、足あとだらけの。桃 子: 「いろんな人に踏まれて、人の足あとだらけになった雪!」じゃなかったでしたっけ?南 : って感じなの?桃 子: そんなことないです。私、あんまりうまく言えないけど、先輩のこと好きですよ。あ、やっぱり言葉足りないですよね。南 : 充分だよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: どっちも似合うよ。長いのもショートもどっちも似合うよ。そんな怖い顔しないでよ。失戀?いや、失戀した時髪切るというからさ。涼 子: 違います。真 二: お茶でも飲まない?涼 子: 飲まない。真 二: じゃ、食事は?涼 子: しません。真 二: じゃ、お酒。涼 子: 私、知らない人とお茶飲んだり、食事したり、お酒飲んだりしません。真 二: あのさ、よかったら、これ、履歴書! 19xx年12月11日生まれ。O型、両親、姉の4人家族。学歴、私立平成学園高校卒。職業、バーテン。特技は... 特技... ピアノです。涼 子: ピアノ?真 二: うん。それと、顔はこんなもんだし、声は「あ~」こんな感じ。あとは何が聞きたい?何でも聞いて。涼 子: こうやって軟派して成功することあるんですか?これ、お返しします。真 二: おかしいと思うんだ。例えば、友だちの紹介とか、会社の同僚とか 毎日行く喫茶店とかさ、そんなところで出合えば、知り合い方としてまっとうでしょう。なんで美容院の前で髪型どうしようかなーと思ってる、かわいい子に一目ぼれしちゃいけないんだろう。涼 子: いい加減にして下さい。真 二: ごめん。涼 子: ふざけないで下さい。真 二: すみません。ねえ! でも、俺ふざけてないよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: どうしたの?南 : おみやげ。中断させると悪いと思ってさ。いい曲だね。いい演奏だし。瀬 名: ありがとう。ね、入ろうよ。パチンコ?南 : え?あの、表通りんとこのパチンゴ屋、あそこでさ、あいつ。朝倉見たの。また來るんじゃないかなーと思ってたんだけど、やっぱ來なかった。人違いだったな。「卒業」って映画見た?瀬 名: うん。南 : 花嫁が結婚式当日にほかの男とバス乗って逃げちゃうやつ、あれってさ。逃げたほうってけっこうドラマだけど、逃げられたほうってどうなったんだろうね。瀬 名: わき役にはスポットライトあたらないじゃん。わき役のことなんてカメラ追いか

けないしさ。鉄則だよ。南 : 映画の?瀬 名: 人生の... 南 : いつになったら出番が來るんだか。何やってるんだろう、私。一日パチンゴやってた。瀬 名: ね、こういうふうに考えるのはダメかな。「長いお休み」。南 : 「長いお休み」?瀬 名: 俺さ、いつも走る必要ないと思うんだよね。あるじゃん。何やってもうまくいかない時。何やってもダメな時。そういう時は、なんというのかな、言い方変だけど、神様がくれた「お休み」だと思ってさ。「無理に走らない」、「焦らない」、「頑張らない」、「自然に身を委ねる」南 : そしたら?瀬 名: よくなる。南 : 本当に?瀬 名: たぶん。南 : 乾杯! 瀬 名: なんで?南 : 何となく。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : おはよう。瀬 名: おはよう。南 : えっ?地震?日本じゃないとこ?午前2時... マグニチュードと震度ってどう違うんだっけ。あと、震源地?アトランタってどこかの人だっけ?瀬 名: アトランタは人じゃないよ。南 : 何持ってるの?瀬 名: みんな領収書。南 : いいから、貸してみな。いいじゃん。見せて。朝倉だ。ちょっとくらい見せてくれたっていいじゃん。なんで?あ、これだ。絶対。結婚します!?なんで口に入れるの?出してよ。なんで?どうして?いやだ。やめてよ。私たち。結婚しま... 。瀬 名: 「しません」じゃないのかな。第3回 彼の純情~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : カメラを見て笑わなきゃ、こっちがカメラだとする、そしたら、したっぱらにしゃきっと力を入れて立つ、まっすぐにいるより斜めにするとスリムに見えるでしょう。どっちかの足に中心をかけてさりげない 小さい動きからどんどん大胆に動いてみる。新 人: うるさいな。南 : あのね、カメラの前で固まっちゃうと同じ写真ばかりでつまらないでしょう。モデルは自分でポーズ、顔の表情、角度をいろいろ変える、歩き方。新 人: 私はそんなこと勉強しなくても、自然体でいいって言われてますから... 南 : 「自然体」たって、基礎はちゃんとやらないと。新 人: 私、別に好きでやってるわけじゃないんです。原宿でスカウトされて 「どうしても」っていうから... 南 : でも、やるって決めたんでしょう?決めたからには... 新 人: うるさいんだよ。おばさん... 南 : なに?もう一度言ってみな。新 人: バ

バ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: クビ?南 : うん、うすうすわかってたからいいんだけどね、私にマーネジャーやらせたのだって、用は「肩たたき」ってやつ。最近、うちの事務所景気郡いから、まだまだ「長いお休み」。瀬 名: 「お休み」って?南 : ほら、言ったじゃない、何やってもうまくいかない時は神様がくれた「お休み」だと思って、焦らない、「ロング?バケーション」。私ね、なんかあるとね、マニキュアとか、ペディキュアとか一生懸命塗るの。そうするとなんか落ち着くんだよね。瀬名君はそういうのない?瀬 名: CDとか、整理するかな 南 : 私、ずっと不思議に思ってることがあるんだけど。瀬 名: なに?南 : 足の人差し指のこと。瀬 名: もしかして、あれじゃないの?人差し指触ってるんだけど、なんか中指みたいとかそういうやつじゃないの?南 : そうでしょう?瀬名君もそう思ってた?瀬 名: 思ってたよ。南 : うれしい。絶対そうだよね。これってさ、人差し指を触ってるんだけどこの感触って絶対、中指を触ってる感触なんだよね。瀬 名: でも、本当の中指はこれなの。南 : やってみな。自分で、これが本当の中指です。じゃ、この指はなに指でしょうか?目をつぶって。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 私ね、子どもん時からずっと不思議だったの。だけど、同じ考えの人に会ったこと初めて、本当に初めて。今までね、35人ぐらいの人に話してみたけど「何言ってるんだ、バカ」って全然相手にしてくれなかったの。瀬名君は誰かに言ってみた?やっぱり「バカ」ってまず言われるでしょう?瀬 名: いや。俺、人に確認してことなかったから。南 : こういうことだ。瀬 名: 何が?南 : ほら、私って自分がうれしいと夢中になっちゃって。人がとまどってるの。目に入らないとこあるじゃない!?ほら、この間、瀬名君も言われたじゃない?「人の気持ちや状況が見えない」って。瀬 名: いや、あれは… 南 : だから、朝倉も別な人と結婚したんだと思う。瀬 名: それ、違うじゃないですか?南 : でもね、写真、半分食べてくれてありがとう。やっぱり相手の女の子の顔わかっちゃったら絶対ショックだったと思うし。瀬 名: いいえ。南 : その人、美人だった?瀬 名: 勝ってるんじゃないの。南 : やっぱりね。サンキュー。ね、

この間のおわびにいいお店、招待する。瀬 名: なに、おわびって?南 : ほら、ラーメン屋のおわび、すごくいいお店見つけちゃった。涼子ちゃんにもこの間のこと謝りたいし、ね、一緒においでよ、涼子ちゃんと二人で。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: でも、まさか、一度会ってたなんてな「あ、あなたはあの時の 」、「君はあそこで会った 」なんて、こんなことが本当にあるんですね。なんか運命感じちゃう。南 : ね、桃子ちゃん! 桃 子: なんかあの二人、いい感じですよね。不良とお嬢さんっていうんですか?今見て、見て、今、視線なんか、からんじゃってああ。セッションってエッチですね。南 : ね、桃ちゃん! 踏んでる。桃 子: え、地雷?ウソ、どこ?瀬名さん! 元気ないですね。お腹でも痛いんですか?南 : なんで?なんであんた行かないの?瀬 名: こういうとこで弾くのはちょっと…桃 子: 手早いですよ、彼。そして、一途、なんて小学校の時に女の子妊娠させて駆け落ちしてますから。南 : 妊娠はさせてない! 瀬 名: じゃ 「駆け落ち」はしたんですね?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: かっこうよかったよ。南 : やっぱりうまいね。涼子ちゃん。涼 子: 特技、ピアノって本当だったんですね。真 二: 俺、ウソはなにも言ってないよ。桃 子: やっぱり。お二人お似合い 。真 二: 俺たちですか?南 : いや、似合うっていうのと、そんなと全然違うんじゃないかな。だって、ジュリア?ロバ ツとヨシイクゾウが並んでるみたいだもん。全然 、ダメ。こんなの。桃 子: あのう。すみませんけど、私、今日帰ります。南 : え! なんで?桃 子: うちのダーが、ちょっと風邪気味だったんですよね。瀬 名: ダーって 桃 子: ダーリンの略。じゃ、みなさま、ごきげんよう! 南 : せっかくみんなで集まったんだから、なんかみんなでやろうか?山手線ゲーム知ってる?真 二: そっち、二人でやれば。南 : あのね、名前言うの、山手線の。涼 子: 指、長いですよね。南 : 、、、、、、。真 二: なんか飲むよな。真 二: な、涼子ちゃん。ごめんね、遅くなっちゃって。俺、送るから。姉ちゃん、今日ありがとう。南 : 真二! 涼 子: 私大丈夫ですよ。一人で。南 : 大学の先輩だから、瀬名君送ってく。瀬名君が送ってくって、なんで。真

二: 涼子ちゃん、行こう。本当にね、遠慮しないで。瀬 名: 俺、ラーメン食べて行きます。第4回 君の噂…~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: どうしたの、そのかっこう。南 : 面接、一個会ってくれるとこあったから。私もそろそろ職に就かないと。眠れなかったんでしょう?瀬 名: そうやって、人のこと見透かしたような言い方しないでくれる。なんであの人があんなとこに寝てるの?南 : だって、はじっこが落ち着くんだって。真二に電話して迎えに來させよう。瀬 名: 寝かしといたほうがいいって。南 : なんで?瀬 名: 明け方になってようやく寝たみたいだし。南 : 來たのが3時しぎだからね。ね、真二と涼子ちゃん、本当に何もないと思うよ。瀬 名: 面接、面接遅れるよ 。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: 先輩! 南 : あれ! 桃ちゃん。桃 子: あれ! どうしたんですか?そのかっこう。南 : あ、これ?面接、だけど、ダメ。今日も全然手ごたえなし。桃ちゃん、何やってるの?桃 子: お供ですよ、あいつの。先輩仕事やめちゃったから、私が代わりについてきたんです。でも見て下さいよ。あのカメラマン。ファインダ越しに犯されたいと思いません?南 : 犯されたいとは思わないけど。桃ちゃん、頭ん中のピンクの象 何頭かアフリカ返してみたら。桃 子: 花子ですか?南 : あれ?あのカメラマンって杉崎哲也じゃない?すごい。桃 子: チョー有名?南 : チョーというか、けっこう有名。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ルミ子: おいしいですか?瀬 名: おいしいです。ルミ子: そうですか?よかったです。あ、あのう、私、目玉焼きって半生が好きなんです。おはしで、ブチュッとさすとにゅろぉっと出てくる。あの時、生きててよかったなーって思うんです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: 上がりまくってますね、いずみちゃん。杉 崎: ちょっと休憩。ドッジボールやろう、ね?あのう、入ってくれます?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 大丈夫だよ、僕があとでやるから。ルミ子: 気にしないで下さい。お礼です。瀬 名: もう、帰ったほうがいいんじゃないかな。真二君戻ってると思うし。ルミ子: シンちゃん。もう二度と帰っ

て來ないような気がするんです。瀬 名: それ、どういうこと?ルミ子: 駆け落ち、好きなんですよ、シンちゃん。瀬 名: 怖いこと言わないでよ。ルミ子: 帰ります。瀬 名: ね、あのう、よかったら真二君、戻ってきたらここに電話くれないかな。一応、心配だから。ルミ子: 瀬名さん、涼子さんのこと好きなんですよね。私たち、似た者同士ですね。瀬 名: ま。ルミ子: 電話します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(ただ今 留守にしております。ピーと鳴ったらお話し下さい。)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : けっこう面白かったね、ドッジいい運動した。桃 子: それ、絶対やってますよ。南 : え?桃 子: 真二さん。南 : あ、真二の話し。桃 子: だって、少なくとも3時まで帰って來なかったんですよ。南 : やっぱり桃ちゃんもそう思う?桃 子: うん。涼 子: あ、よかった。マンション行ったら、いらっしゃらなかったから。南 : え! 私?涼 子: はい。桃 子: それで、それで?しちゃったの?どうすればいいか、わからなくなって南先輩に会いに來たんだ。涼 子: っていうか。桃 子: 「っていうか」なに?涼 子: いいんです、別に。私どうしていいか、わからなくて。桃 子: 涼子ちゃんは先輩の弟と、ちゃんとお付き合いしたいの?南 : 先輩の弟というの、やめてよ。あいつの不始末は私の責任みたいじゃない。私、別にあいつを産んでないからね。涼 子: やっぱり、私とのことは不始末なんですよね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: 先輩、間違ってたらごめんなさい。もしかして、先輩私のこと好きだったんですか?瀬 名: 今ごろ気づいたんですか?涼 子: 南さんは知ってましたか?瀬名先輩の気持ち。南 : うん。知ってた。涼子さんは、全然気づかなかった?涼 子: いいえ、ちょっと、「そうかな」って思ったこともあったけど先輩どこか冷めてる感じだし、ゴンサートに誘ってくれたりしたけど、どこか、気まぐれっぽくて。きっと私のこと からかってるんだろうなって思ってました。南 : ま、瀬名君。シャイだし、一応、かっこういいっからね。涼 子: かっこういいとそうなんですか?南 : やっぱり、ブ男の愛の告白のほうが本当っぽいっていうのは、あるんじゃないの?涼 子: あ、勉強になります。

桃 子: なんか、いやですね。二人で外出ちゃって。佐々木: まわりがきっと取り込んだ話しもあるんじゃないですか?桃 子: 先生、こっちの焦げたのどうぞ! そのお焦げがおいしいんですよね。南 : 涼子ちゃん、こういうのは?涼 子: どういうのですか?南 : 付き合ってみれば、瀬名君と。だって瀬名君、涼子ちゃんのことずっと思ってた。わけだし、ちょっと、すねてはいるけど。根はいいやつじゃない?涼 子: 真二さんよりも?南 : いや。それは弟だからね、郡いと言いたくはないんだけど。涼 子: 私、どうしたらいいんでしょう?モテモテなのかな。南 : うん、モテモテ。でも、たぶん、真二、涼子ちゃんのこと好きじゃないんーじゃないかな。ごめん、心を鬼にして言うけど、あいつ、アニマルだから。見境ない ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: あのう。俺。涼 子: なんですか?先輩。瀬 名: 日曜日デートしよう 「これってデートなんですか?」というデートじゃなくて、正真正銘の本当のデート。本当の。瀬 名: どうしたの?涼 子: 「どうしたの?」って。瀬 名: なんか、二人でいるんだけど。涼子ちゃん、一人でいるみたいだから。今日一日ずっとそんな感じだったから。涼 子: 先輩って、時々、詩人ですよね。瀬 名: そうかな。涼 子: 自分の言葉で表現できる人ってうらやましい。自分の心の中がちゃんとわかるんだろうな。わからなくなったりしないんだろうな。言葉が乱暴で、いつも調子いいことばかり言ってて全然人から信用されなくて。そんな人のために「ピアノ」ってあるのかも知れないね。「ピアノ」の音は正直だから、その人の本当を現すような気がする。瀬 名: それ、だれのこと?あのう、今の、だれのこと?キスーしようか?涼 子: 意気地無し! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : ただ今。疲れた! 今日も面接 「なんか特技ありますか?」って言われて、そうですね若いころは「ミス長良川くだり」やってましたと言ったら 「君、君、そういうのは特技って言わないんだよ」瀬 名: お帰りなさいませ。南 : どうしたの?瀬 名: これ、もらっちゃった。ごめんなさい。南 : あげるけど、一本、二本、三本!?瀬 名: 次行こう、次。南 : ここね、うちん中だよ。二軒目ありませんよ。南 : ちょっとは酔いさめた?瀬 名: 僕って

本当に意気地無しでしょうか?南 : はー?瀬 名: だけど、涼子ちゃん、あの時絶対俺とキスしたいとは見えなかったもん。南 : 「意気地無し!」って本当で言ったんじゃないと思うよ。ついぼろっと言っちゃったんじゃないの?瀬 名: 「意気地無し」って5文字がね。南 : 「意気地無し!」瀬 名: 僕の胸をマシン?ガンみたいに撃ち抜いたんですよ。南 : 「撃ち抜いた」って言われてもね。瀬 名: 先から、人の話し聞いてます?南 : 聞いてますよ。よく聞いてますよ。こんなこと言ったら人生マシン?ガンだらけだよ。マシンガンで撃たれまくって、地雷踏まれまくってそれでもみんな、ほら見てご覧! このあかりを、みんなどうにか、こうにか頑張って生きてるわけでしょう。少なくでも南先輩はね。瀬 名: やっぱりすごいですよね。違いますよ。やっぱり。結婚式の当日に男に逃げられた人の言うことはやっぱり説得力ありますよ。わかりやすいですよ。本当に。すみません。南 : 涼子ちゃん。瀬名君にキスしてほしかったんだ。瀬 名: まさか。南 : だから思わず「意気地無し!」なんて言っちゃったんだよ。きっと。瀬 名: そんなことあるわけないじゃないですか。南 : あんた、アニマル真二のこと忘れたかったんじゃないの。きっと、ね、わかんないけど。瀬 名: わかんないんだったら言わないでくださいよ。今度、涼子ちゃんの気持ち読み間違えたら 本当アウトなんですからね。今、僕ここ歩いてるんですから。ここ、がけつぷち。南 : 突き落としていい?上がって來い。ここまで。第5回 愛の告白~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お寝坊さん、送るよ。瀬 名: どうしたの?これ。南 : 桃ちゃんがね、ダーとグアムなの。その間貸してもらっちゃった。瀬名君、発進ってどうやるんだっけ?瀬 名: あのう、キー、それをさして回して下さい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: あのう、今何時かなーと思って。涼 子: 5時27分です。瀬 名: 時計忘れちゃって。涼 子: 私、あそこすごくよかった。ヒロインがポールと別れる時にハイヒールのカカトを2回カンカンと鳴らすとこ。瀬 名: そんなことあったっけ?涼 子: あったじゃないですか。ピンクの、誕生日に買ってくれたハイヒール。瀬 名: あ、ピンクのハイヒールはわかる。でも、2回カンカンなんて、あったっ

け?涼 子: そんな印象的なシーンじゃないから。瀬 名: 俺が「面白いなー」と思ったのはさ。あのう、マイケルが最後変えていいかどうかをポールに指で流した時に、ポールがこうやってOKのサインのシーン。あれ、笑っちゃった。涼 子: あれ 私、許せないなと思って。瀬 名: なんで?涼 子: だって、卑怯じゃないですか。瀬 名: いや、ほら。ずっとこうやってさ しぶく決めてたポ ルがさ。そこだけなんかこんな顔してやっちゃうんだもん、なんか。かわいげがよくでてたかなーと思ってたんだけど。涼 子: そうですか?瀬 名: 卑怯だよね、卑怯だ。こんな、卑怯。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: 今日はどうもありがとうございました。瀬 名: いいえ。今度さ、今度、会う約束していいかな。涼 子: はい。でも私、今月 ショパンゴンクールがあるんです。瀬 名: あ、やっぱりあれ受けるんだ。じゃ、練習とか大変だよね。ごめん。涼 子: だから、ヒマになったら電話します。瀬 名: 待ってます。涼 子: じゃー瀬 名: 振り返る。振り返らない。振り返る。振り返らない。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: ただ今 南 : お帰りピョン 瀬 名: なんなんですか?それ。南 : なんか不機嫌?瀬 名: いや、別に。南 : これね、二十才ん時にね。これ着てね。こういうポーズしてね。プーってやってね。シャポン玉ふくらませてね、かわいいポスター撮ったことあるのいろいろやったら出てきたから着てみちゃった。似合う?瀬 名: 似合いますよ。そのまま街角行けばあのう、カチカチ山のタヌキさんが連れて行ってくれるかも知れない。南 : またインテリなこと言ってる。瀬 名: 別にインテリじゃないですよ だれだってカチカチ山ぐらい知ってるじゃん。南 : 知ってるよ、カチカチ山のタヌキさん。あ、あれ、げんこつ山か。瀬 名: ちょっと、姉さん。ここで脱がないで。着替えるのは自分の部屋でファッション?ショー?南 : たまにはね、自分のおとろえぬ魅力を確かめてみようかなーと思ってさ。瀬 名: なんかいいことあったの?南 : なんでわかるの?瀬 名: 顔でうちあげ花火バンバンあげてたら、だれだってわかりますよ。南 : うちあげ花火。仕掛け花火。線香花火。あら、あら、秘密、秘密、來週もまた見てね。グッバイ。瀬 名: なんなの、あの人。

南 : ね! 知りたい?瀬 名: なにが?南 : 南ちゃんの秘密。瀬 名: 別に。南 : あ、そうーね! 瀬 名: はい。南 : 本当は知りたいでしょう。瀬 名: 本当はしゃべりたいでしょう。南 : ばれたか、私もビール飲もう。マザーの鮎の甘露煮。瀬 名: 男できたの?南 : あれっ、はやいな。なんでわかるかな。瀬 名: 時々言葉に女が入ってるから。南 : あら、そうかしら。瀬 名: でもさ、その人の前でバニーちゃんやるんだったら よく考えてからやったほうがいいよ。南 : その人ね、チョー有名なカメラマンでね チョ かっこういいんだよ。その人がアシスタントやってた時についてた先生というのが、私を撮ったことあるんだって。その時から、私のファンだったんだって、こう言ったのよ「俺ね 俺 けっこう君のファンだったから」ね!このけっこうっていいと思わない?けっこう、けっこう、けっこういいと思わない?さりげなくて「俺、けっこう君のファンだったから」瀬 名: あの、ごめん、もう一回。南 : 私が後ろ立っててね。彼がカメラをいじりながら、「俺、けっこう君のファンだったから」あ、やきもち!?瀬 名: だれが?いつ、どこで、どうやったら、やきもちやけるんですか?南 : そうなの。そんなに私、魅力あるか?話し聞いてるの?瀬 名: 聞いてますよ。昔ファンで、今カメラマンで すごいかっこういいんでしょう!?もうあがりじゃないですか?今日寝ようと思ったら寝られますよ。南 : なに、その言い方、人を動物みたいに。瀬 名: ふだん、自分がそういうふうに言ってるじゃん。南 : 私はもっと神聖な、ロマンチックな、純粋な気持ちでいるのに、なんでそれを寝るとか、寝ないとかいう話しになるのかな。瀬 名: はい?南 : すけべえ! 瀬 名: じゃ 「万金」で涼子ちゃんにラブホテルのチケット渡して「好きだったらホテル行けばいいじゃん」って言ったのはだれでしたっけ?南 : あれ、ここにいる。なんで帰って來てるの?瀬 名: 普通帰ってくるでしょう。南 : だって、今日デートだったんでしょう?そりゃ涼子ちゃんち行くとか、ホテルへ行くか。どうだった?デート。瀬 名: ハルオさんさ。南 : だれ?ハルオって。瀬 名: あなた南ハルオのハルオさん。ビールやめてワインかなんか飲みませんか?南 : で 「ヒマになったら電話する」って言ったのか! 瀬 名: 「ヒマになったら電話する」って

南 : 「ヒマになったら電話する」。怖い言葉だな 瀬 名: どういう意味ですか?それ。南 : なんかさ 「ヒマになったら電話する」ってさ もう一生かかってこないような気しない?瀬 名: そう。言われればちょっとね。南 : でしょう?瀬 名: そういうことあったんですか?今までに。南 : うーん、あったような気もするかな もうかれこれ7年もヒマにならないんだなー。とかそれにほら。ちょっと面倒くさいなってやつに誘われるとそういうふうに逃げることあるような気がする。瀬 名: じゃ、僕は涼子ちゃんにとって面倒くさいんですかね?南 : かかってくるよ。來る來る。だって「ずっと先輩のそばにいます」って言ったんでしょう?いるよ、きっと。瀬 名: そうですかね?南 : 映画観て、感動するとこ違うからって、それで気にしてるの?瀬 名: いや、それだけじゃなくて。笑うところも違うんですよ。僕はおかしくないのに、横で笑ってるの。南 : わかる。あるある。そういうの、自分は全然おかしくないのに人が笑ってるとムカツクよね。瀬 名: いや、むかつかない。涼子ちゃんはかわいいから。でも、例えばね、例えば、ハルオが相手だったら言えるじゃないですか。面白くなかったら「そこは面白くないよって」言えるんだけど でも。涼子ちゃんが相手だと気つかって言えないんですよね 。南 : 私にも少しは気つかってね。でもね、わかる。すごいわかる。好きだからさ合わせたいんだよね。瀬 名: そう思います?南 : 早いとこエッチしちゃえ。瀬 名: はい?南 : エッチ。そうすればね、性格の雰囲気とか、趣味の違いとか、けっこうごまかせるんじゃないの。瀬 名: 性の不一致は?南 : あー、忘れてたその問題、そういう新しい問題出てくるね、確かに。瀬 名: 本当、ハルオってオープンだよね。男と話してるみたいだもん。南 : あ、そう。瀬 名: もてた?男?南 : それって。心配してくれてるの?瀬 名: 若干ね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 涼子ちゃん?涼 子: 先輩! 私も電話しようと思ってたんです。瀬 名: 本当に?南 : ただ今。瀬 名: このまま待ってたらさ 7年ぐらいかかってこないのかなと思って。涼 子: え?瀬 名: いや、こっちの話し。あのさ、日曜日めし食わない?涼 子: いいですよ。瀬 名: 本当?じゃーいつものとこで。じゃーね。バイバイ。

お帰り! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: キスってこんな感じなんだ。真 二: こんなもんじゃないな。もっと、ぐわあっとにょろぉっとうんにゃあっとすごいもの。する?涼 子: いえ。ちょっと。真 二: そうだよね。やっぱり、キスは好きな人としないと。涼 子: 好きな人?真 二: うん。涼 子: あ、これ好きなんです。でも、だれが歌ってるのかわからなくて。真 二: 「BEN FOLDS FIVE」涼 子: え?真 二: ペン。俺も好き。ピアノけっこうかっこういいんだよね。偶然を記念してキスしようか。涼 子: 何の偶然?真 二: いや、だからあのう。二人が同じものを好きになった偶然。どう?この曲終わったら帰るから。涼 子: えっ?真 二: それまでこうしていい?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ガソリンスタンドの店員: いらっしゃいませ。今日はしかがしましょうか?瀬 名: えーと。レギョラーを。スタンドの店員: まんタンで。瀬 名: いやーあのう。20。スタンドの店員: 20リットル。はい、わかりました。瀬 名: ね! なんで俺をスタンドに連れてこなくちゃいけないの?南 : だって、桃ちゃんに車返さなきゃ。私一生右折できないもん。瀬 名: そんなんで東京回るなよ。南 : 私たちって何?瀬 名: え?南 : 関係。瀬 名: 何、関係って?南 : 今日ね、桃ちゃんにね、私と瀬名君って男と女の友情ってやつって言われてなんだろうな!と思って。瀬 名: あれじゃない。引っ越してきました。そしたら、目の前に電信柱がこう立ってました。最初は気に入らなかったんだけど、住んでるうちに別に気にしなくなったという。そういう関係じゃないの。南 : いいたとえ、ありがとう。引っ越しました。そしたらネズミがいました。ある日ネズミはお姫さまに恋をしました。しかし、ネズミはしょせんネズミなので穴からでてくることができませんでした。瀬 名: 言いたいことが全然わからないんだけど。とりあえず、週末は涼子ちゃんとデートだから。南 : やったじゃん。スタンドの店員: 20リットル入りましたよ。南 : あ、これだ。瀬 名: なにが?南 : 土曜日にね、杉崎さんと一緒に行くライブ。「BEN BEN 」なととか言って、どんな曲だったっけ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: ウワ、でもやっぱり最終日だから混んでる

ね。南 : すごい人。踊りまくり?杉 崎: でも、やっぱりライブだからね。南 : ついていけるかな。杉 崎: きつい?南 : 30過ぎてるからね。杉 崎: そうか。じゃ、肩車でもしようか。ダフ屋: また來たの。昨日もその前もずっと來てるんじゃない。そんなにいいんだ。このバンド。涼 子: 5千円でしたよね。ダフ屋: ダメダメ。今日は最終日だから1万円。南 : おじさん。これいくらだっけ?ダフ屋: 1万円だよ。南 : 私は駅前で5千円で買ったよ。もう始まっちゃうよ。1分前、59、58、ダフ屋: じゃ、8千円でいいよ。南 : 駅前で5千円で売ってる。ダフ屋: お姉さんにはかなわないな。じゃ、5千円でいいよ。南 : あ、お買い上げ。涼 子: どうもすみませんでした。南 : 涼子ちゃんってクラシックだけじゃないんだね。真二! 真 二: よぉっ、おそろいで。元気?涼 子: え。ルミ子: こんにちは。涼子さんと二人ですか?涼 子: そうなんです。南さんに誘われて。南 : そうなの。私、これすごい観たかったんだけど だれも一緒に來てくれないからむりやり付き合わせちゃった。真 二: へぇ、けっこうお姉ちゃん。趣味よくなったじゃん。南 : まーね。ルミ子: ね、もう始まるよ。真 二: じゃーな。涼 子: すみません。杉 崎: 行くよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 熱心だね。瀬 名: 涼子ちゃんがゴンクール受けるというからさ。俺も頑張ろうかな!と思って。うるさかった?ごめん。南 : いや、全然。明日、デートだっけ?ご機嫌だね。瀬 名: たまにはね。そっちだって、今日初デートだったくせに。はい、もしもし。涼子ちゃん?明日5時だよね。え?どうしたの?涼子ちゃん、なんか声変だよ。今から。いや、大丈夫だけど。いいよ。こっちから行くから。俺行くから。本当。南 : どうしたの?瀬 名: いや、話しがしたいというから。南 : 話しって?瀬 名: わかんないよ。南 : 行くの?これから。瀬 名: いや、今すぐ話ししたいというから。南 : タクシー?瀬 名: 電車ないから。南 : 送るよ。瀬 名: え?南 : 愛車で送る。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : ね! 瀬 名: なに?南 : 行くの、やめな?瀬 名: どうして?南 : もうすぐ、プロ野球ニュース始まるし。瀬 名: じゃー、ビデオ撮っといて。南 : なんか、いい

話しの気がしないな。瀬 名: なんで?南 : だって、明日デートの約束してるのに、なんで今、急に呼び出すの?今日会わないほうがいいんじゃない?瀬 名: 泣いてたみたいだし、ほっとけないじゃん。南 : やっぱり帰ろう。ね、行くことないよ。瀬 名: なんか隠してる?ね! 南 : 今日、涼子ちゃんに会った。瀬 名: どこで?南 : ライブで、そのライブ、真二も來てた。瀬 名: あ、二人で來てたんだ。南 : 違う、そうじゃなくて。涼子ちゃん、ダフ屋でチケット買ってたから。瀬 名: 助かった。ありがとう。南 : 帰り待ってようか?タクシー拾えないよ。瀬 名: いいよ。南 : 泊まるの?瀬 名: なに考えてるの?南 : 何も考えてないよ。瀬 名: じゃ、帰り、気をつけて。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: ごめんなさい。こんな夜中で。瀬 名: 全然大丈夫。涼 子: 私、どうしても話したいこと。先輩!來るの、すごく早かったね。瀬 名: その、話しってなに?どうしたの?こっち向いて。涼 子: ごめん、ごめんなさい。私、他に好きな人がいる。瀬 名: 好きな人って??好きな人ってだれ?話しってそういうことだったんだ 。涼 子: だから、私、先輩とは付き合えない。瀬 名: そうか。わかった。何泣いてるの?じゃ、お休み。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 帰り、近道しようと思ったら迷っちゃって。ぐるぐる回って、またここ出てきちゃった。プロ野球ニュース撮ろうと思ったんだけど、ビデオはあれ、どうやってセットするんだっけ?と思ってわかんないからね。道わかんない南 : あげる。瀬 名: だってもう。ラストじゃん。瀬 名: よかったら。南 : ありがとう。第6回 KISS~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~佐々木: 結婚式のピアノ?瀬 名: え。例えばなんですけど。佐々木: またどうして?瀬 名: このままじゃいけないかなと思って。僕、ちゃんとピアノできていこうと思ったんです。このままだと、あそこであやって、子供教えて、それで終わっちゃうような気がして。佐々木: 瀬名君、あなたいつか 「自分はだれかのために ピアノ弾いたことがない」ってそうおっしゃいましたよね。それが今プロになるために人前でピアノを弾こうとしてる。瀬 名: 変わりたいんですよ。佐々木: でもね、瀬名君

。本当は自然にだれかに、もちろんだれもかまわないんですが、だれかのためにあなたがピアノを弾きたいと思って、それで弾いたときに本当に変わっていくんじゃないかと思うんですよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 私の恋は南の風に乗ってほしいのは、チャンチャン、あら! 郵便屋: 速達です。南 : ご苦労さまです。「誠に残念ながら」だったら速達で送るなよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~佐々木: メロディーというのはだれかを思う心です。瀬名君は悲しいメロディーの時には心も一緒に泣いてるんですか?あるいは 歓喜のメロディーの時には一緒に歌ってるんでしょうか?瀬 名: いや、そんな余裕とてもないから。どちらかと言うと、ピアノと格闘してるっていうか。佐々木: 瀬名君はけっぺきなんですね。どんなに格闘してるピアニストでも、心の中で歌ってないピアニストは一人もいません。大丈夫。これからです。「すべての芸術は音楽に憧れる」。いい言葉でしょう?瀬 名: だれの言葉なんですか?これ。佐々木: ほぼ私です。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 笑っちゃいましたね。ビリヤードの試合でマイケルがポールのほう見るところ。杉 崎: あったっけな!?南 : ほら、あったじゃないですか。マイケルがポールのほう見るとね、ポールがね、こういうサイン送ってるんですよ、こういう。だって、ふだんこんなしぶく決めてるポールなのに、あの時こんなですよ、こんな。大したシーンじゃなかったですからね。杉 崎: ところでさ、どこでめし食おうか?衫 崎: 面白い店だね。南 : けっこういいでしょう?杉 崎: あ、そうだ。創文社出版どうだった?この間2次面接、受けにきてた。南 : あそこでまだ結果が出てない。でもね、ちょっと手ごたえあったかな。あのうね、弟。杉 崎: あ、弟さんか。南 : ライブで会ってるんだ。杉 崎: 確か。真 二: 今度は年相応だし。杉 崎: 今度?南 : 私、ストロベリ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: 杉ちゃんどこ、どこ?南 : トイレ。何してるの、早く職場に戻れば。真 二: 涼子ちゃん、瀬名とうまくいってるの?南 : なんで?真 二: ほら、この間付き合い始めたって、姉ちゃん言ってたからさ。南 : なんであん

たがそんなこと気にするの?真 二: この間、ライブに來てたじゃん、涼子ちゃん。南 : 來てたよ。真 二: 來てたろう。南 : だから何?真 二: いやーほら、俺に会いに來たのかな。南 : ライブを聞きに來てたんです 涼子ちゃんがあんたみたいなアニマル、相手にするわけないでしょう。真 二: そうやって、自分の弟を虫けらのように言うなよな。身内が見方しないでだれが見方するんだよ。南 : 見方と言えば 私もちょっと見方してほしいな。真 二: マジ?南 : お金貸して。面接また落っこっちゃった、お金ない。真 二: また落っこっちゃったのかよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 今日はどうもありがとうございました。杉 崎: 南ちゃん。あのさ、もしなんだけど、よかったら、うちの事務所來ない?俺のアシスタントみたいなことやらないかな、ちょうど人ほしいと思ってたんだ。南 : アシスタントなんて、とんでもないですよ。私、写真のこと全然わからないですから。杉 崎: 大丈夫、すぐ慣れるよ。南 : とりあえず、ちょっと考えさせて下さい。杉 崎: そう?でもさ、ウソつかないで。南 : ウソ?杉 崎: 面接。南 : 知ってたんですか。ごめんなさい、ついかっこう悪くて。杉 崎: でもかっこう悪くても、南ちゃんは南ちゃんでしょう。もっとも俺は、例えば南ちゃんが100社面接落ちても、かっこうよくてかわいいと思うけど。瀬 名: こんばんは。南 : こんばんは。お隣さん。杉 崎: あ、お隣さん。南 : 今日本当にいろいろどうもありがとう。杉 崎: うーん。また誘っていいかな。南 : もちろん。杉 崎: じゃ、お休み。南 : お休みなさい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : ただ今。ただ今帰りました。「恋する二人」。南 : ただ今! 瀬 名: お帰り。お隣さん、ちゃんとカメラマン届けました。南 : はい。けっこういい男でしょう。瀬 名: カメラマンの杉崎さん?南 : あたり。瀬 名: ね、空にさ。南 : 空?瀬 名: 空に星あるじゃん。南 : はい。瀬 名: あ、やってさ。星がきらきら光って見えるのって。まわりに暗い部分があるからでしょう。闇というか。南 : 確かに、昼間星って見えないもんね。瀬 名: 星を輝かせるために存在する闇!?俺ってそんな感じかな?南 : 詩人だね。私さ、また面接、落っこっちゃっ

た。瀬 名: とめどないね。南 : 23社目。瀬 名: 数えてるの?南 : 悔しいからね、おっことしたとこ覚えといて、そこの商品とか絶対買ってやらないんだ。瀬 名: 性格郡いよ。南 : 先さ、杉崎さんに「アシスタントの來ないか」って言われたの。瀬 名: すごいじゃん。南 : でも、写真のこととか全然わからないし。かといって、何ができるんだ。なんかしたいんだけど、だけど、何もできない。そして31才。瀬 名: 別に遅くないんじゃないの。またなんか、新しいもん見つければいいじゃん。南 : 新しいものって?瀬 名: 写真って悪くないと思うけどね。昔撮られたんだから嫌いじゃないでしょう。南 : まーね。瀬 名: そこにいるうちに、なんか見つかるんじゃないの。南 : そうだね。何もしないより、なんでもいいから、始めてみたほうがいいのかも知れない。瀬 名: 俺さ、けっこう出無精なんだけど。南 : でぶ?瀬 名: 意味が違うでしょう。でもね、人からの誘いにはけっこう乗るんだ。そうすると、案外いいことあったり。南 : 瀬名君のいいことって何?瀬 名: 別に大したことじゃないけどね 帰り道にきれいな夕焼けが見えたりとか。そんぐらい。でも、家で寝てるよりマジでしょう。南 : あれ、映画観たの?「恋する二人」。瀬 名: なんで?南 : いや、部屋にパンフレットあったから。瀬 名: 俺さ、あの映画の中でさ、二人がやってたサインで、こういうの。南 : 瀬名君。ずっと友だちでいようね。瀬 名: 気持ち郡い。南 : たとえ、戀人できたとしても、結婚したとしても、瀬名君、結婚できないかも知れないか。そしたら老人ホームにたずねていってあげるよ。瀬 名: いいです。南 : 縁側でお茶しようぜ。瀬 名: しよぜ?南 : で、例えば、うちの旦那が死んじゃっててそん時いなくなっちゃってたら私、瀬名君と再婚してあげてもいいよ。私が65だとしたらそん時瀬名君は59か、もう年とったでどうっていう年でもないもんね。瀬 名: いやです。南 : なんで?瀬 名: 59だったらね、55の女の子がいいな。南 : ね、瀬名君にはピアノがあるじゃん。私、ピアノのことよくわからないけど 瀬名君は将来、絶対星になって輝く人だと思う。あ、死んじゃうってことじゃないよ。瀬 名: わかるよ、普通。南 : 私はいいと思うな、瀬名君のピアノ。絶対いいと思う。瀬 名: あ、心強い。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: うまそう! いただきます。ルミ子: シンちゃん、やっぱりおかしい。真 二: なにが?ルミ子: いつもだったら 目玉焼き型くずしちゃうと機嫌悪くなっちゃうじゃん。最近変にやさしいし。それにエッチの回数減りました。この間したのが真 二: なんだこれ?ルミ子: 女できたの?真 二: できてません。ルミ子: じゃ、結婚して!結婚して!真 二: マジ?ルミ子: はい~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 今日どうしたんですか?桃 子: え?私ヒマでさ、仕事ないし。先輩はお勤めし出したし。瀬 名: ああ、カメラマンさんのとこ。桃 子: ったく。いつの間にかあんないい男ゲットしちゃってさ。瀬 名: ゲットはまだしてないんじゃないですか。桃 子: そうなの?瀬 名: どういうことを指してゲットというのかよくわかんないけど。桃 子: そりゃーあなた、肉体関係よ。瀬 名: まだでしょう。桃 子: そうかな~ 先輩あれでけっこう、わあーっとなると。ぱあーっといっちゃうタイプ。瀬 名: してない。桃 子: してるでしょう。瀬 名: してない、してない。桃 子: なんで、そんなムキになるの。瀬 名: 別にムキになってませんよ。あなただいたいだか。何しに今日來たんですか?桃 子: ねー瀬名君。佐々木先生の電話番号知ってる?瀬 名: 何企んでるの?桃 子: べーつに。奥さんいなくて、一人で大変だろうな!と思って 先 生: 瀬名先生、お客さん。瀬 名: どうしたの?友 人: ちょっと、涼子ちゃんのことでさ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: こっちのほうがいいんだね。子どもっぽくなって。モデル: そうなんですよ。よくわかりますね。杉 崎: 一応プロだからね。姉さん! ちょっと入ってくる。髪をね、ザーと後ろに流してくれる。もっと大胆に流していいよ。南 : フィルムのチェンジ!!はい! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~友 人: 両沢ショパンゴンクールの実技、ボロボロだったみたいでさ。最近学校も出てきてないんだよ 。桃 子: どうしちゃったんだろうね。涼子ちゃんらしくない。友 人: あのう、あなただれですか?桃 子: モモちゃんです。友 人: だから、一回、瀬名が様子かがってやったほうがいいと思ってさ。桃 子: そうだよ、付き合ってるんで

しょう。瀬 名: もう、関係ないからさ。桃 子: うん?関係ないって?瀬 名: ふられちゃったから。桃 子: どうして?瀬 名: 他にね、好きな人ができたんだって。桃 子: 好きな人ってだれ?だれだれだれ?友 人: あのう。初対面の人に向かってなんなんですけど、あなた、かなり近道につっぱしってますね。先 生: 瀬名さん。生徒さん來たわよ。瀬 名: 今行きます。だから、涼子さんのこと俺に言われてもさ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~[涼子: はい。奥沢です。ただ今留守にしております。発信音のあとにメッセージをお願がいします。]瀬 名: 瀬名です。久しぶり。この間、あんなふうになっちゃって、本当にごめん。大人げなかったと思ってる。もし、もし俺のこと気にしてるんだったら、本当気にしなくていいから。難しいかも知れないけど。前と同じように、先輩と後輩で。それじゃ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: お疲れさん。南 : お疲れさまです。杉 崎: 腹減ったろう。南 : 腹減りましたね。杉 崎: どっか、でめし食わない?編集者: 杉崎さん。どう?めし食いながら、打ち合わせ。下で待ってますから、先行ってるよ。杉 崎: ごめんな。この埋め合わせ必ずするから。南 : お疲れさまでした。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: 涼子ちゃんって、マジメだね 涼 子: マジメ?桃 子: だってさ。アニマル真二と付き合いだしたわけでもないのに。瀬名のことフッちゃったんでしょう。瀬名だってかっこういいんだから。とりあえず、瀬名と付き合っとけばいいのにさ。涼 子: できないんです。桃 子: そんなにアニマル真二のこと好きなんだ。涼 子: どうして、好きになってもしかたない人を好きになっちゃうんだろう!?桃 子: しかたなくないよ。全然しかたなくないもん。だって結婚してるわけでもないしさ。涼 子: 私なんか、ダメです。桃 子: 涼子ちゃん!人生一回しかないんだよ。どうしてあきらめちゃうの?ね、なんであきらめちゃうの?涼子ちゃん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : あ、モモちゃん! 今ね。[桃子: はい、桃子です。ただ今、桃子は森にお花をつみに出かけています。あっちょんぶりけと言いましたらメッセージをどうぞ。]南 : あっちょんぶりけ!

いなくても10円取られて悲しいな。ご飯食べる相手もいない女はみんな結婚してる。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: はい、もしもし。南 : もしもし、瀬名さんのお宅でしょうか?瀬 名: あなた、キャベツになんかやった?南 : 第一声。瀬 名: 違う。焼きそば作ろうと思ったんだけど、キャベツないんだもん 南 : ごめん、朝、千切りにして食べた。瀬 名: 俺のキャベツじゃないの。南 : 私のじゃがいもあったよね。瀬 名: じゃがいもなんか、普通焼きそばに入れないでしょう。南 : 入れるもんね、私。男のくせに細かいんだよね。出て來ない?瀬 名: え?南 : 「万金」集合! 瀬 名: いや、あのさ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お腹すいたな。瀬 名: 普通、休みだったら「休み」って電話ぐらいするじゃん。南 : だって「万金」前、集合と言っちゃったからさ。瀬 名: キャベツ入った焼きそばはどこですか?南 : 焼きそばぐらいおごるよ。あそこの「台風」焼きそばうまい、真二とこの何でもない 焼きそばね。瀬 名: いいよ。そこ行こう、そこ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: いらっしゃい。お姉ちゃん、この間の男と違うじゃん。やるね。南 : うるさいよ。とりあえず、ビール。メニュー、ビールでいいよね。瀬 名: どう、調子は?南 : うん、なんの?瀬 名: 仕事。南 : あ!でもね、失敗ばかり。カメラマンがモデルほめ出すでしょう。それってね フィルムチェンジって合図なのね。それ、とちってばかり。瀬 名: 大変なんだ。南 : でもね、何もしないよりいいみたい。瀬 名: あのう、なんだっけ。そのカメラマンの?南 : 杉崎さん?瀬 名: と、うまくいってるの?南 : うん、いい人。瀬 名: よかったじゃん。真 二: どう、瀬名君。涼子ちゃんとうまくいってる?南 : メニュー見せて。何しようかーね。真 二: おっ うわさをすれば、元気?桃 子: ァニマル! 涼子ちゃん、あんたに話しがあるんだって。真 二: 俺に?話しって何かな 涼 子: いえ、なんでも桃 子: ダメだよ、涼子ちゃん。はっきり言わなきゃ。アニマルに会いたいためにそのなんとかってライブ、何日も通ったんでしょう。南 : モモちゃん、何考えてるの?桃 子: 何って何ですか?南 : こんなこと、

涼子連れてきて!桃 子: だって、好きだって言うから、好きなら好きって本人に言えばいいじゅないですか。南 : 時と場所を考えれば、ここには瀬名君もいるんだよ。桃 子: 瀬名がいたって好きなもんは好きでしょう!南 : 好きだったら、何したっていいっていうの?人の気持ちとか考えれば!桃 子: 好きなもんは好きなんです。好きって気持ちは止められないから世界で一番えらいです。一番。南 : 何おお!!森で花でもつんでろ!そんなこと言ってるから不倫ばかりするんだよ。桃 子: そんなこと言ってるから、先輩は売れ残るんです。南 : 売れ残って郡いか、頭ん中ピンクの象、次のゴジラの対戦相手のくせに。涼 子: やめて下さい。すみません。おじゃましました。真 二: あ、暑いな。瀬 名: 來いよ、早く! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 話し、聞ってやってくれよ。あ、俺か!そうだよね。ごめん。俺がじゃまなんだよね。ごめん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: どれ?南 : 星くを天使の淚で割ったカクテル。瀬 名: そんなもんないよ。オレンジでいい?南 : ミカンがいい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: 涼子ちゃん。あのう、俺に会いにライブに來てたって本当?涼 子: あの日、真二さんが送ってくれたあの日、忘れようと思ってたのに、忘れようと思ってたのに。次の日になったらもっと会いたくなって、その次の日になったらもっともっと会いたくなって、だんだん忘れるはずがどんどん会いたくなって。それで。真 二: ごめん。涼 子: ごめんなんて、言わないで。わかってるから。ごめんなんて、言わないで下さい真 二: そうじゃなくて、そうじゃなくてさ、会いに行けなくて、ごめん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 帰ろうか。駅こっちだよ。瀬 名: 歩いて帰る。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 夜の空気がもう夏だね。海でも行きたいな。瀬 名: うん。いいね。南 : 瀬名君は人がいいね。瀬 名: そうですか?南 : 空は青いし、海は広いし、瀬名君は人がいい。瀬 名: なんだそれ!?南 : そういう感じがするってことよ。未来永劫、人がいい。瀬 名: ほめられてるようには思えないんですけど。南 : 瀬

名君みたいな人とずっと一緒にいられたら、それはそれで幸せなんだろうな。瀬 名: 「それはそれで」って何?南 : なんだろう!?瀬 名: ね!キスしようか南 : いいよ。久しぶりのキスだったな。瀬 名: しばらくこうしてていい?南 : いいよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 持ちましょう。南 : フィルム! ちょっと 待って! すみません 待って! 第7回 眠れぬ夜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : バス会社のほうすぐ電話してみたんですけれど。だけど、走ってるバスには連絡取れないって。だから、バスが車庫に戻ったら、すぐに探してもらうことにはなってるんですけれど。杉 崎: ちょちょちょちょっと待って。南 : だから、私、バスの倉庫のほうこれからすぐ行って。杉 崎: ストップ。南 : 杉崎さん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~運転手: もう、いい加減にして下さいよ。なかったでしょ。さっき、私見たんだもん。南 : すいませんでした。どうもありがとうございました。運転手: はい、どうも。あ、それ、違います。それ 。南 : 一応、すいません。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~店 員: いらっしゃい。南 : あれ、桃ちゃんどうしたの?桃 子: おいしそうな匂いがしたから。ラーメンとギョーザ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: はい。もしもし。真 二: あ、俺、いや、僕、じゃなくて。俺俺。涼 子: 真二さん。よかった。電話、かかって來ないかと思った。真 二: どうして?涼 子: ずっと、かかって來なかったから。からかわれたのかと思った。真 二: そんなはずないよ。涼 子: 本当?真 二: 本当。涼 子: 本当に?真 二: 本当に。涼子ちゃん、何かしゃべってもっと、ほら、ね、声聞きたいよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: フィルムなくしちゃうのはまずいっすよね。南 : 失格だよね、私。桃 子: クビですか?じゃ、私たちまたプー仲間ですね。私も最近仕事なくてプーシスターズ。ごめんなさい。店 員: はい、ギョーザ、おまちどおさま。南 : ね、桃ちゃん。今日桃ちゃんとこ泊まってもいい?桃 子: いいけど、どうして?南 : ちょっと、ね。桃 子: どうして?どうして

?どうして?あ、瀬名と顔合わせづらいんだ。南 : 桃ちゃん、そういうとこ。勘いいからな。桃 子: 男と女の話しには敏感なんです。で、何があったんですか?南 : 何もないけどさ。桃 子: やっちゃったんですか?そうだよな 私そうだと思ったんだ。嫁入り前の男と女が一つ屋根の下で暮らしてだよ。何にもないはずがない。無意識かも知れないけど。先輩、男誘ってるとこありますしね。南 : ウソ!本当?桃 子: 本当、本当。ね!色気ゼロだと思ってるでしょ。オリジナルの色気がありますよ。先輩には 南 : ウソ、本当に?店 員: ほんと、ほんと。桃 子: で、エッチしたんですか?南 : やってない、やってない。え、違うよ。やってないよ、ほんと。そういうことじゃないの。桃 子: キスか。南 : どうしてわかんの?桃 子: 先輩、今日うち泊まれません。ダーが來るんだった。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: お帰り。南 : ありがとう。瀬 名: お帰り、ゼのために 南 : ただいマカロニグラタン。今日天気よかったね。瀬 名: って感じ。南 : それ言うなら、晴れってやつでしょ。瀬 名: あ、そうか。小春じゃないもんな。(ジリリリーン)瀬 名: 誰だろね。私出るよ。真 二: よっ! 南 : 「よっ」て、あんた。どの面さげてここに來れるわけ?瀬名君の涼子ちゃん、横取りしといて。真 二: 横取りってお前、人聞き悪い。瀬 名: こんばんは。真 二: こんばんは。瀬 名: あ、上がれば。真 二: え、いいの?瀬 名: いいよ、どうして。どうぞ。南 : この傷は?真 二: ちょっと、あいつにやられて。南 : お風呂、あんたはいいね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: ちゃんと、うちに來て話せばいいのに真二君と。ルミ子: 本当に、瀬名さんちにいるんですか?瀬 名: いるよ。なんで?ルミ子: 涼子さんちに行ったんだと思ったから。瀬 名: 行かないよ。君との話しちゃんとしてないのにさ、そんなことしないでしょ。そういう人でしょ、彼。るーさんもそれわかってるからここに來たんじゃないの?ルミ子: 瀬名さんいい人だけど、いい人でやさしいけど、いろんな人にやさしくて、いろんな人ちょっとずつ傷つけてるんですよね。瀬名さんが涼子さんけしかけなきゃ、真二はまだ私のとこにいたかも知れないのに。瀬 名: あ、ごめん。ルミ

子: 私、やっぱり帰ります。瀬 名: もうすぐ帰って、ほら。真二君。????南 : ね、うち、でっかい懐中電灯あったよね。あ、るーさん。いらっしゃい。なんで?真二は?瀬 名: ちゃんと話したほうがいいな!と思ってさ。で、るーちゃんにうちに來てもらった。真二君、まだなんだけど。南 : この度はうちの弟がどうも。真 二: ただ今!た、ろ、よ、なんちゃって、ちょっとちょっと。パチンコ勝っちゃってさ。ルミ子: お帰りなさい。瀬 名: やっぱり、うちらは席、外したほうがいいよね。南 : 私も懐中電灯、見つかったからさ。真 二: いや、ちょっと、待って待って。頼むよ。いて下さい。ルミ子: もう、ダメなんでしょ。あの子が好きなんでしょ。真 二: ごめん。ごめん。ルミ子: いいけど、どうせそんなことだろうと思ったけど、もともと3カ月前競輪場ナンパされただけだしさ。南 : そうだったの?ルミ子: こんなことになろうと思ったけどさ。殴っていい?真 二: え?ルミ子: 一発、殴っていい?真 二: いいけど。昨日、あんなに物ぶつけたり、ひっかいたりしたのに。ルミ子: わかったよ。もうわかった。もう、これでおしまいなら、いいこと言おう。真 二: いいことって?ルミ子: 「ありがとう」とか「元気でね」とか「サヨナラ」とか。そういうこと。サヨナラ! 真 二: 送るよ。ルミ子: サヨナラ。真 二: いいから、送るって。ルミ子: サヨナラ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : さっき、わざと、ビール噴き出したでしょ。るーちゃんが、挙げた手、下ろせないでいるの見て。瀬 名: だって、あん時真二君、殴ってもさ。るーちゃん自身、後からまいるだけじゃん。南 : いろんな人の気持ちがわかるんだね。瀬 名: だって今日、るーちゃんに言われたもん。瀬名さんは誰にでもやさしくできて、少しずつみんなのこと傷つけてるって。南 : いつ傷つけた?瀬 名: だって、真二君とるーちゃんが、別れなくちゃいけなくなったのはさ。俺が涼子ちゃん、けしかけたからじゃん。南 : 誰のせいでもないよ。誰のせいでもない。るーちゃんだってわかってるよ。瀬名君のせいじゃないって。わかってるけど、だけど、サヨナラって悲しいじゃん。瀬 名: どころで、あなたは何をやってるわけ?南 : え?瀬 名: その、懐中電灯。南 : あ、私、大変なことしちゃったの。杉崎さんの大事なフィルム

なくしちゃってこんなことしてられない。徹夜で捜索活動。じゃ、ね、行ってきます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: 電話もらって、南さんとこにいるからって、先輩とこなんですけど、それで、会いたくなっちゃって。すみません、瀬 名: うーん。会いたくなっちゃって、会いたくて、会いたくて、もう、会いたくて、会いたくて、会いたくて。好きになるとそうなんだろうね。涼子ちゃんさ。涼 子: はい。瀬 名: 真二君、本気だよ。涼 子: え?瀬 名: 涼子ちゃんのこと。昨日ね、るーちゃんうちに來たんだ。そん時、別れ話してた。人のこと好きになるとさ、いろいろあるじゃん。みんながみんな幸せってわけにもいかないし。でも真二君と涼子ちゃんというのはお互いに思いあってるわけだからさ。そういう気持ちというのは大切にしたほうがいいと思うよ。だからさ。気持ちに素直になって、真二君とこ行ってもいいと思うよ。涼 子: 先輩! 瀬 名: その笑顔だったらね、神様も味方するよ。ハハハ。じゃ、これ。手。もう少しで帰ってくると思うからさ、家の中で持ってればいいじゃん。あ、そのちっちゃい方がカギだから。瀬 名: 「その笑顔は神様も味方するよ」よく言うよな (回想)瀬 名: これってデ トじゃないの?涼 子: デ トなんですか?私 ここにいます 他に好きな人がいる ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: ただ今!瀬名君、まだいたんだ。どうして?涼 子: 会いたくて。南 : ごみ箱知りません?杉 崎: 明日までですよね 何とか間に合わせます。今昔のファイルから写真選んでますから。社 員: 先生、お客様です。お 客: あのう。杉 崎: 何、おばあちゃん。お 客: 私、おばあちゃんじゃございませんのよ。長瀬って申しますの。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お帰り! 瀬 名: うん。あれは?どうだった?フィルム、なくしたやつ。南 : ダメ。さっさまで探してたんだけどね。瀬 名: じゃ、何。徹夜?南 : うん。瀬 名: ご苦勞さま。南 : これからもう一回、回ってみてそれでも無かったら、あやまって辞表出して來る。瀬 名: 辞表って、じゃ。首?南 : 首でしょ、もちろん。撮ることを仕事としてる人にとって、撮ったものって命なんだから。瀬 名: 「命」なんだからって、命があればまた撮れるじゃん。

南 : 同じものは撮れない。瀬 名: そりゃ、同じものは撮れないかも知れないけど、もっといいもの撮れるかも知れないじゅん。南 : ダメ、絶対ダメ!アシスタントとして私、最低なことしちゃったんだから責任取ってやめる。フィルムなくして、男&仕事、両方いっぺんになくしちゃった。張り出しに戻る。あっ、涼子ちゃん來たんだね。瀬 名: どうして?南 : ごめん、そこにあったの見ちゃったから。相変わらず瀬名君、いいやつだね。瀬 名: おかげさまで。南 : 郡いやつで、もっとクールに決めてたらもてるのに。待ちな、ベービー俺と日遊びしようぜ。とかさ。瀬 名: そんなこと言わないって。南 : 行って來よう。ね、今日さ、失戀&失業祝いやろうよ。瀬 名: 失戀?誰が。南 : 失戀&失業。瀬 名: ヒマだったらね。南 : じゃーね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~社 員: とりあえず、これだけ編集に渡して來ます。行って來ます。杉 崎: よろしく。社 員: 南ちゃん。お帰り。杉 崎: よっ。南 : いろいろ探してみたんですけれど。ですから、私、この度の不祥事の責任を取らせていただきます。杉 崎: 南ちゃん。ちょっとおいで。にいものあるよ。南 : え!これ。杉 崎: ハハハ。見つかった。南 : ウソ、どこで?杉 崎: 長瀬さん。來てくれた。南 : 長瀬さん?杉 崎: あ、バスで手貸してあげたおばあちゃん。南 : あのおばあちゃんが?杉 崎: お礼の菓子折りとフィルムもって。南 : だけど、なんであのおばあちゃんが?杉 崎: なんかね。家帰ったら、デパートの手提げ袋の中に見知らぬ紙袋が入ってたんだって、南ちゃんが手を貸してくれた時に間違って入っちゃったんじゃないかって、ほら、うちの社封筒だったろ、住所があったから、それでお礼かたがた届けに來てくれました。南 : あ、よかった。本当よかった。杉 崎: でも明日までに入稿だから、今日は徹夜でキャプション考えなきゃ。南 : 本当にご迷惑おかけしました。杉 崎: 手伝ってもらえる?南 : 私でいいんですか?杉 崎: もちろん。南 : 頑張ります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(回想)佐々木: 通ればボストン?シティ?フィルのピアニストです。ボストン?シティ?フィルの。ルミ子: 瀬名さんいろんな人にやさしくて、いろんな人ちょっとずつ傷つけてるんですよね。南 : 誰

のせいでもないの。誰のせいでもない。ね、今日さ、失戀&失業祝いやろうよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: 南ちゃん。杉 崎: よし、できた。南 : はい。本当にお疲れさまでした。杉 崎: ご苦勞さん。南 : はい、これ。大事なフィルムだから、絶対なくさないでね、頼んだよ。行っていらっしゃい。ただ今、バイク便、確かに出発致しました。本当にいろいろすみませんでした。杉 崎: 南ちゃん。一杯やろうよ。南 : ありがとうございます。杉 崎: お疲れさん。南 : はい、お疲れ様でーす。杉 崎: 乾杯! 南 : 乾杯! 杉 崎: いい?あのね、ここからは仕事ではなくプライベートです。俺はもともと南ちゃんを女の人として誘ったんだ。仕事仲間としてじゃない。その辺、ちょっとごっちゃになって難しいんだけど。南ちゃん?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 何をやってるんですか!?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: ごめん。起こしちゃったか?南 : 私。杉 崎: 女の子口説いてる間に寝られたのは初めてだよ。南 : ごめんなさい。杉 崎: 南ちゃんさ、ずっと寝てなかったんじゃないか?どうして?南 : 夕べ、バス。杉 崎: バス?杉 崎: それ、徹夜でずっとやってたの?あきれたな、なんでそれ早く言わないの?南 : いろいろ、ご迷惑おかけしました。杉 崎: なんでそんなに頑張るの?いつも100点取らなくたっていいよ。南 : いや、100点取れないから、せめて頑張らないと。杉 崎: ああ言えばこう言う。南 : こう言えばああ言う。杉 崎: かわいくないぞ。南 : 生まれつきです。杉 崎: 南ちゃん。南ちゃん、いつも精いっぱいだ。切れそうに張りつめた糸みたいだ。見ててせつないよ。南 : せつない?杉 崎: 見ててせつないのは俺が南ちゃん、好きなせいだけど。南 : 杉崎さん、いつも私のこと南ちゃんって言うじゃないですか。女の子になったみたいでホットします。いつも先輩やって、年上の女やって、いろいろやって、疲れます。疲れます。30過ぎて一人で強がりばかり言って、やることオヤジみたいになってきちゃって。私もやっぱり疲れます。こんなオヤジな私でいいんですか?杉 崎: もう、黙って。南 : もう一回言って下さい。杉 崎: 何を?南 : さっきの。杉 崎: さっきの何?

南 : さっきのあれ。杉 崎: だからさっきの何?南 : だからさっき言ったやつ。杉 崎: 好きだよ。南 : あ、それ。杉 崎: 何度でも。好きだよ。南 : いいなあ。杉 崎: 何が?南 : 男の人に好きって言われるって。杉 崎: 何言ってるの。南 : なんか、言わせるの卑怯な気がして。いつも自分で言ってました。杉 崎: たまらない人だなあ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: おさかんで。南 : 何それ?瀬 名: べつに。南 : 言っていいことと悪いことがあるの。瀬 名: この間キスした時は久しぶりのキスとか言ってたくせに。南 : じゃあ、今日は久しぶりの「何」って言わせたいの?杉 崎: 南ちゃん、ほら。カギ忘れて。南 : 杉崎さん。杉 崎: 部屋、入れないんじゃないかと思って。南 : 瀬名さん、一緒に住んでる人。杉 崎: そういうわけだったんだ。南 : うん。だから、瀬名君とは全然そういうんじゃないんですよ。杉 崎: 大変だったね。いや、朝倉さんだっけ。南 : ああ、最初は落ち込んだりもしたんだけど。でも瀬名君もいてくれたし。杉 崎: ありがとう。南 : けっこう、ウマが合って弟みたいっていうか。私、弟いるんですよ。瀬名君と同じ年の、会ってますよね、真二というんだけど。だから双子の弟みたいな感じっていうのかな。瀬 名: でも、似てませんけどね。南 : ああ、似てないけどね。杉 崎: でもさ、話してくれてありがとう。南 : どう言ったもんかなって思ってるうちに、なかなかきっかけつかめなくて。杉 崎: うん。いいよ。南 : あ、飛行機の時間?杉 崎: うん、俺もう行かないと。南 : 今日からニューヨークですもんね。「文春」のグラビア、頑張って下さいね。杉 崎: え、と、一週間で戻るから、留守よろしく。南 : お任せ下さい。杉 崎: コーヒー、ごちそうさん。瀬 名: あ、いいえ。南 : 下まで行きます。杉崎さん。私、ここを出ます。部屋探します。そうしようと思ってたから。杉 崎: 実は俺も話しがあるんだ。南 : 話し?杉 崎: あのう、ニューヨークから帰ってきたらちゃんと話すよ。行ってくるよ。南 : 行ってらっしゃい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 弟みたいな。南 : ごめんね、朝早くつきあわせちゃって。瀬 名: いいえ。南 : 杉崎さんに変な誤解のないようにちゃん

と話しといたほうがいいと思って。瀬 名: 変な誤解?南 : コーヒー、ごちそうさま。瀬 名: いいえ。心配しなくても弟ですから。第8回 別れの朝~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: あのう、なんですけど。受けようかなと思って。佐々木: 決心しました?瀬 名: はい。佐々木: ああ、そう。よかったな。そうですか?瀬 名: ですから、推薦のほうなんですけど。よろしくお願いします。佐々木: もちろん。それは責任もってきちんとやります。瀬 名: すみません。佐々木: ああ、そうですか。それよかったな。通ったら、ボストン?シティ?フィルですよ。瀬 名: いや。まだわかんないですけどね。佐々木: そうか。じゃ、お祝いに一杯やりますか?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 飲み過ぎですよ。佐々木: 大丈夫、大丈夫。瀬名君。恋というのはね、とてもテンションの高いものなんです。だからみんなそれが一番大切なものだと思ってしまうんですが、僕は少し違うと思うんだな。「マディソン郡の橋」とか、僕は信じません。瀬 名: それ、僕、まだ観てないから。佐々木: 夫をね、最後まで裏切って死んでいくような、そんな手紙を書いてはいけません。そばにね、そばにいる人を大切にしなければいけない。部屋でね、部屋で待っててくれる人を大切にしなければいけないんです。でもね、瀬名君。ショパンというのは何度帰っても「お帰り」とは言ってくれません。瀬 名: いや、家に帰ってショパンが「お帰り」って言ってくれたら、それはそれで怖いですけど。佐々木: 瀬名君はね、ずるい人です。あなたは決して「寂しい」という言葉を使わない人だ。瀬 名: そんな、わからないじゃないですか。佐々木: いや、わかります。あなたのピアノを聞いてればわかるんだ。世界中のすべての人間が「寂しい」という弱音を吐いたとしてもあなたは絶対に「寂しい」ということは使わない。強い人なんです。瀬 名: まさか。佐々木: 強いからやさしくなってしまうんです。瀬 名: 先生の買いかぶりです、僕。けっこうめめしいですから。佐々木: めめしい?「 めめしい」いいじゃないですか。大いにいいです。「めめしい」というものは素直という意味なんです、いいですか。瀬名君、君は自分にもっと素直になればそれでいいんです。そうですね。暑ければ窓開けて、夏の風に浸るように 寒けれ

ばストーブに火をつけて手をかざすように もちろんみんなの前でやる必要はありません。誰かの前で 誰かの前だけでいいんです。瀬名君! 壁取っ払って下さい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 風邪引くよ、そんなところで寝てると。南 : 夢見てた。瀬 名: 夢?南 : うん。高校のね、音楽教室、お弁当食べてから一人で寝に行くの。あったかくてポカポカしてて、誰もいなくて気持ちいいんだよ。目つぶるとブラス?バンドの練習してる音とかサッカー部のかけ声とかいろいろな音がやさしかったな、あのころ。今思い出した。夢ん中で瀬名君のピアノ聞いてたら。瀬 名: そう。そうですか。南 : ばんご飯シチュー食べる?瀬 名: 食べて來ちゃった。南 : こんな時間じゃ、お腹すくはずだ 私食べよう。瀬 名: あ、やっぱり軽く食べようか。瀬 名: コンクールさ。南 : うん?瀬 名: 大きいやつ受けようかなと思って。南 : え、コンクール?瀬 名: 音和堂コンクールと言うんだけど。通ったら。南 : うん、通ったら?瀬 名: 通ったらいいなと思っただけ。南 : 今度こそ通るといいね。頑張れ! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : はい。杉崎、三日には戻りますので。はい、わかりました。必ずお伝えします。はい、すみません。よろしくお願いします。社 員: もしもし。杉崎哲也事務所です。はい、少々お待ち下さい。南さん、お電話です。南 : え、私?はい、もしもし、お電話かわりました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : なんで、瀬名君ここにいるの?瀬 名: いや。るーさんに呼ばれたから。真 二: 涼子ちゃん。ごめんね。桃 子: 先輩!南 : あれ、桃ちゃんも。桃 子: レディス&ジェントルマン。本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。それではさっそくるーさんアマンを紹介します。真 二: ア、アマン?桃 子: アマン。桃ちゃんダーに対抗してるーさんのアマン。南 : ルーちゃん戀人できたの?桃 子: それではるーさん。どうぞ。アマン: ミナミちゃん。なんかこ、緊張しちゅうな。南 : どういうこと?桃 子: なんか私、真二さんと涼ちゃんけしかけちゃった手前責任感じちゃって、おわびにうちの事務所で誰でもって、うちのモデルカタログ見せたの。そしたら、るーさん最後のマネージ

ャー紹介ページ見てこの人って。ルミ子: この人。南 : でも、なんで?るーちゃん。ルミ子: 私、顔のいい男って疲れちゃって。アマン: ルーちゃん、どういう意味?ルミ子: 顔のいい男って、見てるだけで、ふわんとして、抱きしめられて、きゅうんとなるんだけど、ふわん、きゅうん、もう振り返しで、それってなんかごまかされてる気がして。瀬 名: わかります。南 : わかんない。いい男といっぱい付き合ってきたんだなと思うとちょっとうらやましいね。真 二: そうですか。人のことを顔がいいだけの男の代表選手のように言ってくれてどうもありがとう。ルミ子: どういたしまして。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: 真二さん! 真 二: 涼子ちゃん、俺、ツラがいいだけなのかな。涼 子: 私、真二さんのこと好きです。私が好きなだけじゃだめですか?真 二: 涼子ちゃん、今日アパート泊まっていい?涼 子: いいよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : いや、だけど、びっくりしたね。なにかと思ったよね、みんな呼び出して。でもさ、現代っ子ってさ、たくましいね。ちゃんとラブラブを見つけられてさ。瀬 名: あれさ。ヤラセじゃないかな。南 : ヤラセ?瀬 名: だから、るーちゃん自身もさ「私戀人できました」って言って、真二君がテアトロンに戻れやくしたんじゃない。わかんないけど。瀬 名: いつ出ていくの?南 : え?瀬 名: 出ていくんでしょ 南 : なんで?瀬 名: 「男ができるか、お金ができたらすぐに」って言ってたじゃん。リビングで見たよ。賃貸マンションの図面。南 : 仕事も軌道に乗ってきたし。いつまでもここにいるわけにはいかないでしょ。瀬 名: かっこういいカメラマンの戀人ができたからーでしょ。4対3。あと6点。でもよかったじゃん。南 : え?瀬 名: 朝倉さんがさ、逃げちゃった時。花嫁衣装着て玄関の前に立てた時はどうなるかと思ったけど。南 : 4対4。瀬 名: よかったじゃん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~DON'T WORRY BE HAPPY南 : 真二、そのね、段ボール絶対逆にしないでよ。真 二: 姉ちゃん、少しは本くらい読めよ。これ全部、服ばっかりだろう。ほとんど。南 : よけいなお世話だい。桃 子: 先輩、本当は出ていくの寂しいんでしょ。南 : なに、あ、これ。カギね、忘れない

うちに渡しとく、地図もね。真 二: OK.南 : はい、よろしく。桃 子: あれ、先輩は?南 : 私ね、今日杉崎さん、帰ってくるから事務所出ないと。真 二: 7時には戻って來れるんだろうな。なんついったってバーベキューパーティー。だからよ。姉ちゃん門出を祝って。南 : わかってるよ。ね、その荷物だけお願いよ。桃ちゃん、これ軽いから、いろいろすみませんが、あとは運送屋さんにお願いするから。よろしくお願いします。真 二: 杉ちゃんとどこかへ消えるなよ。南 : だれ、杉ちゃんって。真 二: 杉崎さんだよ。南 : うるさい、バカ。桃 子: じゃ、先輩。バーベキューの買い出し、よろしく。南 : OK,じゃーね。よろしく。またあとでね。桃 子: はい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 就職?友 人: 平井エレクトロニクス。仕事の内容は営業とかそういうのかな。ピアノとは直接関係ないけどさ。受けようかと思ってるんだ。瀬 名: マジで?友 人: マジで。瀬 名: じゃ、おれは、大学院どうするの?友 人: 大学院出たところでさ、見えてるよ。その先、瀬名も一緒に受けない?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お帰りなさい。お疲れさまでした。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~友 人: 年取ればどんどん就職なくなるんだよ。大学出て年がたてばたつほどさ。ピアノなんてつぶし利かないし。俺さ、佐々木教授に音和堂のコンクール出ないかと言われたんだ。瀬 名: それ、俺も言われたよ。友 人: やっぱりな。お慈悲だよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : え、今なんて?杉 崎: うん。だからその。要するに。南 : 要するに?杉 崎: X1(ばついち)南 : X1!?杉 崎: そう。南 : 杉崎さんが?杉 崎: そう。南 : なんだ、話しってそれだったんですか?杉 崎: 怒った?南 : ったく。もう! 何かと思うじゃないですか。私、結婚式当日花婿に逃げられてるんですよ。ちょっとやそっとのことではショック受けなくなってますから。杉 崎: ごめん。南 : そんなごめんだなんて。今時X1なんて珍しくないじゃないですか。私だってほら、入れなかったからセーフだったものの。もし入れてたらX1,私もX1。お子さんとか。あ、そんなわけないか。杉 崎: 男の子、一人。南 : ああ、え! ~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~貴 子: (手紙)先生、お元気ですか。私も元気です。そう言いたいところなのですがこちらに來てあまりにもみんなのレベルが高いのでびっくりしています。しょせん、自分は「井の中のだった」のかな、なんて思います。先生は音楽は樂しむものだとおっしゃいました。教えて下さい。どうすれば樂しめるんですか?斉藤貴子南 : お帰り。瀬 名: ただ今。南 : 反対だよ。瀬 名: お帰り。南 : ただ今。今日バーベキューだよ。真二たち來るよ。瀬 名: 知ってるよ。南 : あ、言ったか。瀬 名: 何時に來るんだっけ。南 : 7時ごろって言ってたけど、遅れるんじゃないかな。瀬 名: 買い出し、行く?南 : うん。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 肉ばっかりじゃないですか。野菜は?南 : 野菜はね、真二が店から適当に持ってくるって言ってたけど、なんか。買っちゃおう。納豆瀬 名: 納豆って何に使うんですか?南 : 焼くんだよ。瀬 名: はい?南 : 焼くの。瀬 名: 納豆は焼かないでしょ、普通。南 : 焼くよ。瀬 名: 焼かないですよ。南 : 焼きます。ベーコンと一緒に焼いたらおいしいんだよ。瀬 名: それは岐阜だけですよ。南 : ウソだ。全国で焼くね 瀬 名: 60年代の人しか焼きませんよ。南 : 自分は何年生まれ?瀬 名: 72年です。南 : 72年!?ディズニーランドっていくつの時にあった?瀬 名: 小学校の時に連れて行ってもらった。南 : 小学校でもうディズニーランドあったの?ぜいたく。信じられない。ぜいたく過ぎるよ、それ。瀬 名: じゃがいもです。南 : さつまいもです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: 桃ちゃん。桃 子: 今日は中止。真 二: なんで、雨降っても決行じゃん。桃 子: じゃましちゃダーメ。瀬名と先輩とラストナイトを。真 二: ラストナイト?桃 子: 最後の夜。真 二: そのくらいわかるよ。桃 子: 本当はわかってないくせに。真 二: ね、あの人たち、そういう関係だったの?桃 子: そうじゃないけど、そうじゃないけど、ちょっとそうかな。もしかして、まさか、もしかして、まさか、その間行ったり來たりしてるみたいな。真 二: 俺、そういうの大嫌い。好きなものは好き。ね、嫌いなものは嫌い。行ったり來たりしないよ。だって、姉ちゃん、杉ちゃんと

こ行ってる。んだぜ、瀬名となんかあるわけないでしょ。桃 子: わからないじゃん。結婚前のワンライトメモリーズ。真 二: ワンライトメモリーズ。桃 子: 私を許さないで。憎んでも覚えてて、今でもあなただけが、青春のリグレット。真 二: 何それ?桃 子: 南先輩と瀬名のテーマソング。真 二: 中島みゆき。桃 子: 違うだろ。真 二: 痛いよ。桃ちゃん、もう。桃 子: 行くよ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : もう、なかったりして。瀬 名: あった。南 : ラッキ。瀬 名: 荷物全部運んじゃったんだね。南 : うん。瀬 名: 言ってくれればちょっと手伝ってあげたのに。南 : また、心にもないこと。瀬 名: 明日じゃなかったっけ。南 : うん、だけど荷物だけ先運んじゃおうと思って、桃ちゃんと真二も手伝ってくれたし、あいつら來ない気かな。瀬 名: 結婚するの?南 : あぁ?瀬 名: 杉崎さんと。南 : どうかな。たぶんするんじゅないかな。杉崎さん子供がいたの。瀬 名: 聞いてないよ、それ。南 : 言ってないもん。私だって今日聞いたんだもん。瀬 名: マジ?南 : マジ。瀬 名: なんで?南 : なんでって。だから離婚してX1で、その前の奥さんとの間に子供がいたんでしょ。瀬 名: いくつ?南 : お砂糖?瀬 名: 何ぼけてるの。子供の年でしょ。南 : 知らない。聞いてないもん。瀬 名: 男の子、女の子?南 : んとね、あ、男の子って言ってたかな。瀬 名: あなた、何に聞いてきてるの?南 : だって、離婚して、X1で、子供もがいるって聞いたら。それだけでキャパシティオーバーでそれ以上聞く頭が回らなかったんです。だけど、そういうことって過去のことじゃない!?それに今奥さんがその子供と暮らしてるみたいだし。養育費だけで、あんまり関係ないみたいだし。瀬 名: 待ったほうがいいんじゃないですか。南 : 何を?瀬 名: 結婚。南 : なんで?瀬 名: だっておかしいじゃん。今までそれ、隠してたわけでしょ。南 : 隠してたわけじゃないでしょ。瀬 名: 隠してたんじゃん。ウソついてたんじゃん。南 : ウソじゃないでしょ。言う機会がなかっただけ。瀬 名: そういうの、ウソついていてたって言うの。南 : なんでそうやって。杉崎さんにいちいちけちつけるの?瀬 名: だいたいさ、話しうますぎるって。そんな売れっ子のカメラマンがさ、ハルオに「一目

ぼれ」なんかするなんて。南 : ちょっと、ちょっと。どういう意味?瀬 名: 言った通りの意味ですよ。ああいうさ、かっこいいカメラマンなんてさ、もう、ばりばり女の人と遊んでるってあなたもその他大勢の一人なんじゃないの?南 : 信じられない。瀬 名: 信じられないのはあなたです。いい年しておやじぶってるけどさ、本当にぶりっこなんだから。南 : 私のどこがぶりっこなの?瀬 名: よくも悪くもね。30年も生きてきて人のこと信用しすぎるっついうの。南 : そうなの?瀬 名: ほら、またそうやって素直にすぐきく。南 : そうなの?人のこと信用しすぎるの?瀬 名: はい。だから、朝倉さんにだって逃げられたんでしょ。だいたい朝倉さんすごい善良な人なんだよ その人にだまされるって言ったら、もうよっぽだよ。南 : よっぽど、バカってことだね 瀬 名: とにかく返事待ったほうがいいよ。南 : なんの?瀬 名: プロポーズの返事。南 : プロポーズなんかされてないよ。瀬 名: え?南 : されてないです。ない、全然。瀬 名: あ、そうなんだ。南 : 何へらへらしてるの?その他大勢の一人だとか思ったんでし。瀬 名: いや。南 : 私なんて、30すぎのババアだし。どうせ「一目ぼれ」なんかされるわけないから杉崎さんの数いる女の中の一人だとか思ったんでしょ。瀬 名: 思ってないよ。南 : 思ったね。瀬 名: 言ってないことまでそうやって怒らないで下さい。南 : 言ってなくても目が言ってるもん。瀬 名: だよ。南 : へりくつ!?杉崎さんね、あんたが、この汚れた心ん中で思ってるような杉崎さんじゃないの。すごいいい人だし。誰かと違って大人の男だし、経済力あるし、結婚するんだったら杉崎さんみたいな人がいいな。だいたいね、あんたになんだかんだ言われたくないの。私と杉崎さんのことは、私と杉崎さんのことであって、あんたには全然関係ないんです。瀬 名: 悪かったですね。でもさ、いい加減いい年して結婚して人に幸せにしてもらおうっていう他力本願やめたら。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 瀬名。瀬名! バイバイ。瀬 名: アア。南 : アアじゃないでしょ、バイバイって言ったらバイバイでしょ。瀬 名: お元気で。南 : 寂しいね。昨日すごいにくたらしくて、もうぶっ殺しちゃおうかなってくらいにくにくしくてミンチにしてやろうと思ってたど。な

んか寂しいよ。瀬 名: そうだね。南 : そうなの?瀬 名: ちょっと。南 : こんなんだったら、一回ぐらいやっときゃよかったね。瀬 名: 何を?南 : 秘密。瀬 名: 真っ昼間からこんな大通りはさんでするような会話じゃないでしょ、お姉さん。あ、ちょっと待って。ね、これ忘れもん。南 : 昨日一緒にやろうと思ったんだけど、雨降っちゃったから。あげる。ながなが、お世話になりました。バイバイ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(回想)南 : 昨日すごいにくたらしくて、もうぶっ殺しちゃおうかなってくらいにくにくしくてミンチにしてやろうって思ってたけど。なんか寂しいよ。昨日一緒にやろうと思ったんだけど、雨降っちゃったから。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 雨降っちゃった。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~先 生: うん、いいね。おおむねいいよ。涼 子: 本当ですか?先 生: 本当です。涼 子: よかった。先 生: とりあえず聞きたいんでね。次、瀬名君。第9回 瀬名の涙瀬 名: どうですかね。先 生: 君はどう思う?瀬 名: 思うようには弾けませんでした。先 生: だったら思うように弾けるようになってから、僕のところに來て下さい。練習に付き合うほどヒマじゃないんだよ。奥沢君、もう一度弾いてみて。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: こんなもんかな。南 : はい、すいません。私は一生組み立てられない。ありがとう。杉 崎: 南ちゃん。そういえばさ、この間の話しもう少しちゃんとしとこうかと思うんだ。南 : この間の話し?杉 崎: うん、別れた女房と子供の話し。27のころ結婚して武ができて。南 : 武?杉 崎: あ、子供の名前。南 : あ、いくつ?杉 崎: 今ね、六つ。南 : じゃ、小学生。杉 崎: あのごろ、俺まだアシスタントだったらから仕事にかかりっきりでね。ほとんど家にいなかったんだ。とにかく自分のことに夢中だった。夢中なんてもんじゃないな。必死だったんだ。そしたらある日言われてね。「このままじゃ一緒にいる意味がない」って。写真に対する情熱の10分1でいいから自分とちゃんと向き合ってほしかったって。それで別れた。それから、しばらく一人でいいやと思った。人の気持ち考えたり、人のこと思いあったりするのが面倒くさいと思った。でも本当は

人を好きになるのが怖かったんだ。南 : ありがとう。話してくれてありがとう。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: あんな言い方しなくてもいいのに。瀬 名: いいよ、もう。涼 子: あ、先輩。ヨーヨー釣り。瀬 名: 本当だ。涼 子: あ、懐かしい。やろう。瀬 名: いーいよ。涼 子: やりましょうよ。瀬 名: あ、危ない! 涼 子: 先輩! 瀬 名: 大丈夫。でも本当に涼子ちゃんじゃなくてよかったよ。涼 子: えっ?瀬 名: だって、涼子ちゃんの指、他の人の指と違うんだからなんというかな。涼子ちゃんの指はさ、水鳥が舞うみたいに鍵艦を舞ってるじゃない。涼 子: 先輩、また詩人入ってますよ。瀬 名: ありがとう。大丈夫、でも、俺の手はさ、鍵艦の上で、うずくまってる石?涼 子: 先輩。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: やっぱりまだ夜は冷えるな。南 : 帰り気をつけて、いろいろありがとうございました。助かりました。杉 崎: 南ちゃん。俺さ、いろいろ聞かせちゃったけど、おかげでなんか、ほっとしたよ。南 : そんな私のほうこそ。怖がってたの、私のほうかもしれない。人を好きになること!?だから心のリハビリ、頑張ります。杉 崎: 心のリハビリか。ほら、中入って。南 : はい。気をつけて。杉 崎: うん、お休み。南 : お休みなさい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: あ、久しぶり。真 二: いいかな。瀬 名: うん、どうぞ。真 二: えーと、クラブテアトロン特製のシュウマイと生春巻。それと、こっちがほら、シソとジャコのピラフ。あ、これあっためたほうが。瀬 名: ごめん。そういうの。真 二: あ、ないか?電子レンジ。瀬 名: どうしてこれ?真 二: いや、涼子ちゃんに聞いてさ。その手のけが。たぶん一人。じゃ何もできないだろうって、ま、普通から自炊なんかしないわな、男の人は。食べない?よかったら。瀬 名: 食べる。何も食べてないから。あ、一緒に。真 二: そう思ってさ。俺も何も食って來なかった。瀬 名: 本当?真 二: 姉ちゃん。ほら、姉ちゃん、來ないの?たまには。瀬 名: うん、出て行ったきり。電話もないし。こっちもしてないんだけどね。真 二: あ、そう。あいつなんかさ。結婚するかも知れないよ。瀬 名: あ、杉崎さん?真 二: まだ、本決まりってわけでもないらしいけど、なん

かそんな感じだな。瀬 名: じゃ、うまくいってるんだ。真 二: まあ、ほら、そろそろ落ち着かないとって思ってるんだろう。母ちゃんもうるさいからよ。あれ! 瀬 名: ごめん、それ。カギかけちゃったから。やるんだったら。そのグラスん中にカギ入ってるから。真 二: じゃ、ちょっと久しぶり。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : 瀬名マンに?真 二: 瀬名マン?南 : 瀬名のマンション。真 二: いいところじゃん、けっこうよ。南 : しかし、なんでまた。真 二: いや、あいつが來てもいいと言ってくれたからさ。俺もほら、友だちんとこ転々としてるわけにもいかないしよ。お姉ちゃん、引っ越し手伝ってくれない?南 : なんで、あんたの引っ越し私が手伝わなきゃいけないの。あ、バイト?いくら?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: ほら、運ぶよ。南 : あなた一人でできんでしょ。真 二: あ!会ってかないのかよ。瀬名に。南 : 私べつに用ないもん。真 二: どうして、どうして?南 : 何?真 二: 意識してる。意識。南 : 何言ってるの?真 二: あなたが本気で見た夢を、私を許さないで、憎んでも覚えてて、今でもあなただけが、青春のリグレット。桃ちゃんから教えてもらったの、これ。南先輩と瀬名君のテーマだって。南 : 今の歌?真 二: もちろん。南 : 音痴。憎んでも、ハー覚えてて、ハーなんでこうリズム感ないのかな、憎まれるぐらいなら私は忘れられたほうがずっといいね。真 二: 姉ちゃん、おまえ。本当に人好きになったことあるか?南 : 杉崎さんが好きです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: 瀬名君!こんにちは。瀬名君。南 : バイトじゃないの、音楽教室。真 二: いや、そこやめて、あいつバイト始めたんだよ。南 : 何?どうして、なんで?何これ、どういうこと?真 二: いや、なんか、近々運び出すんだと。南 : なんで、なんでやめちゃうの?真 二: しかたないでしょ。南 : しかたない?真 二: 俺はさ、瀬名君あいつまだ若いじゃん。やり直しきくんだからやり直して正解だと思うよ。なんと言ったらいいかな。今まで物事が一つもうまくいかなかった人っていうのはね。物事がうまくいくっていうのが信じられないのよ。南 : で、好きなことやめちゃうの?真 二: あいつのピアノ聞いたこと

ないからなんとも言えないけどさ。飛べない鳥に飛べって言ってもでしょ。南 : 飛べない鳥?真 二: 思ったんだ。好きなことを好きなようにやれるやつっていうのはね。翼を持ってるのよ。翼を持ってないやつっていうのはいくら飛びたいと思っても飛べないのよ。南 : 瀬名君は飛べない鳥じゃないよ。世界一でっかい翼持ってるもん。真 二: それ、愛の告白っていうんだよ、そういうのは。だれがどう聞いても絶対そう思うよ。南 : 違います。それとこれとは違います。真 二: そうかね。南 : そうですよ。真 二: いいけどよ、ちょっと手伝って。南 : ほこりっぽい、掃除機かけよう、掃除機持ってきて。台所の横、大至急。(回想)瀬 名: これ、忘れもん。いつか言おうと思ってたんだけどさ。水。ちゃんとグラスに移してから飲んでくれないかな。南 : あ、気にしてたんだ。間接キッス。かわいい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: こちらの商品なんかすごくいいと思うんですけど。お 客: ちょっとあててみてもいいかしら。瀬 名: あ、どうぞ。お 客: ちょっと地味かしらね。南 : 布団ぐらい買えば 瀬 名: すみません。大変お待たせしました。ありがとうございました。南 : すみません。これ試してみていいですか?瀬 名: あ、どうぞ。南 : 君で試してみていい?瀬 名: どうぞ。南 : うーん。地味。これは、野球選手っぽい。瀬 名: 父の日のプレゼントか、なにか。南 : これ。知的頭よさそう、でもこれ。瀬 名: あ、彼氏。南 : いくら?瀬 名: 9800円です。南 : つりは要らないぜ。瀬 名: ちょっと待っててください。南 : ね、プレゼント。ゴンクールん時にして。なんで。なんでやめるの、ピアノ。瀬 名: ちょっと時間あるかな。南 : どうしたの、その手。瀬 名: ちょっと。これもいい機会かなと思ってさ。神様が言ってるんだよ、きっと。もうやめなさいって、ピアノ。俺ずっとしがみついてたから。南 : あ。神様のせいにしてる。人に言ったじゃない、他力本体やめろって。なんでそうやって神様とかけがとかのせいにしてるのかな。瀬 名: 才能がないの。南 : 才能がないんだったらあるようにはならないの?瀬 名: むちゃくちゃ言わないでよ。南 : ある日急に突然むちゃくちゃうまくなったりしないの?瀬 名: そんなことあったら奇跡だよ。南 : 奇跡ってな

いの?あると思うよ、私。瀬 名: それはピアノやったことないからだよ。南 : ありますね、あるもん。こんなちっちゃい時だけどあるもん。だけど私は、右手と左手一緒に動く才能ゼロだったから三日ぐらいでやめちゃったけど。瀬 名: だからそういうもんだって。でもできるやつはできたでしょ、そん時。温泉みたいなもんだよ。涌くとこには涌くけど涌かないとこには涌かないって。そろそろ混んでくるから行くよ。南 : 好きなのに。瀬名君のピアノ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: おいとくよ。南 : あ、すみません。杉崎さん、最初から写真って、うまく撮れたんですか?杉 崎: まさか。だんだんだよ。今だってまだまだ。南 : でも、才能あるからな。杉 崎: 才能?南 : 才能、才能ってなんなんでしょうね。杉 崎: それは俺にもよくわかんないな。ただね、強烈に撮りたいって思う瞬間みたいなものはあるかな。南 : 撮りたい瞬間?杉 崎: 例えばさ、小学校の近くの信号で赤が青になるのを待ってる子供たちが何人かいるだろう。もうすげーわくわくした顔でさ信号が青になった瞬間走り出すぞ!って感じだよ。こいつら、信号一つでこんなに目が輝くんだと思うとね。もう心ではシャッターを押してるんだな。仕事仕事!南 : はい、すみません。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: ピアノ教室まで通うなんて信じられない。南 : だってどうしても弾けるようになりたいんだもん、この曲。桃 子: そんなに瀬名のことが好きになるんですか?南 : なんですぐそっちのほうに話しがいくのかな。桃 子: 瀬名のことが好きなんでしょ。南 : 違います。瀬名のピアノは好きだよ、確かに。でも違うのその人。桃 子: じゅー、瀬名と杉崎さんがボートに乗ってて。南 : 転覆したら杉崎さんを助けます。だからそういうんじゃないの。桃 子: 私、男女の友情なんてないと思います。前にも言ったけど。男女の友情っていうのはすれ違い続けるタイミングもしくは永遠の片思いのこと、っていうんです。たまにすれ違い続けるタイミングって思ってて。永遠の片思いってこともありますけどね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : お帰り。ピアノ借りてるよ。あのう、真二から電話あって。あの、バカ急に都合が悪くなったら。私に「代わりに

行ってくれって」業者の人取りに來たけどまた今度にしてもらっちゃった。一回くらい聞かせようかなと思って 瀬 名: なんで?なんでこんなことするの?南 : 奇跡はないって言ってたよね。でも私はあると思うよ、絶対。私ピアノ小さいころ全然ダメでゼロ以下だったけど。一週間でここまできたもん。奇跡だ。こういうのは奇跡って言わないか。私ここ來たころ、朝倉いなくなってすぐのあのころ、この曲、瀬名君弾いてくれたこの曲が、私救ってくれたからどうしても弾けるようになりたかったから。ピアノやめちゃダメだよ。絶対捨てちゃダメだよ。瀬名君に捨てられたらこのピアノどうするんだよ、悲しがるよ。瀬 名: 全然ダメ。ダメだって。誰がそんな指寝かして弾くんだよ。南 : すみません。瀬 名: お手本やるからさ。南 : しっかり練習しろよ。瀬 名: ね。結婚するの?南 : たぶんね。じゃーね。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~杉 崎: 近く通りかかったから飯でもどうかと思ったんだけど。まずかったかな。杉 崎: 何食べる?南 : そうですね、何しましょうか。今日は。杉 崎: 腹減ってる?南 : え、けっこう。第10回 最後の恋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~瀬 名: 涼子ちゃん。どうしたの?~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~南 : ごちそうさまでした。杉 崎: うーん。ゆっくり休みな。元気ないからさ、疲れてるのかと思って。南 : はい。杉 崎: じゃーな。南 : お休みなさい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: 最近、私ピアノ忙しくてなかなか会えなかったし、私自信ないんです。今まで男の人と付き合ったことないから。なんかいろいろ間違っているんじゃないかって。瀬 名: べつに間違っててもお互いの気持ちがあれば大丈夫だよ。涼 子: そうかな。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~真 二: なんだ、まだ帰ってなかったのか 。ルミ子: うん。真ちゃんは?真 二: なんか、寝れなくてよ。飲むか?ルミ子: 真ちゃん。ここにいていい?足のほうにいいから。るーはね、足でもなんでもいいから、真ちゃんのそばにいると安心する。今日だけ、明日はもうしない。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~涼 子: じゃ、ここで。瀬 名: ほんとう?涼 子: 先

輩に聞いてもらったら少しはほっとしました。瀬 名: こんなことででいいんだったら いくらでも言ってよ。涼 子: いつもわがままばっかりでごめんなさい。瀬 名: 誰に?俺?涼 子: そう。瀬 名: そうかな。全然気づかなかったから。帰り本当に一人で大丈夫?涼 子: 大丈夫です。瀬 名: ほんとう?涼 子: じゃー。瀬 名: 気をつけて。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~先 生: はい。せつなくていい感じです。瀬 名: そうですか?先 生: あなたは今、だれかのために弾いてる。そんな感じがする演奏でした。本番もそんな感じで弾いて下さい。瀬 名: はい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~桃 子: いくらしたんですか?南 : 中古だからね、3万ちょっとかな。桃 子: でもなんでカメラなんか始めたんですか?南 : 自分でも取ってみたらおもしろいかなと思って。桃 子: だって結婚するんでしょ、そんな面倒くさい。南 : するかも知れないし、しないかも知れない。桃 子: どういうことですか?南 : 一人で幸せでいられないやつが誰かといても幸せか。桃 子: アンアンの結婚特集かなんかだ。南 : 考えたんです。一応自分で。桃 子: 何となく。南 : 何となく、何?桃 子: わかるんですけど。南 : わかるんですけど、何?桃 子: 先輩 なんかごまかそうとしてません?なんか、心の中にぽっかり穴が開いてそれを埋めるために写真始めたんじゃないですか?南 : シャッタ?チャンス。桃 子: 先輩、奥行こう奥。私、こういうとこばっちりはまるんですよね。南 : ここ神社だよ、神様に怒られるよ おじゃします。学生1 : あいつまた就職試験おっこったのよ。学生2 : こんなんで效くの?学生1 : これで效かなきゃ困るよ、もう。LA.LA.LA LOVE SONG -久保田利伸 with ナオミ キャンベル(NAOMI CAMPBELL)-回れ 回れ メリーゴーラウンド もうけして止まらないように 動き出した メロディLA.LA.LA.LA.LA LOVE SONGWanna Make LoveWanna Make Love Song, Hey Baby......Wanna Make LoveWanna Make Love Song, Hey Baby......ドシャ降りの午後を待って 街に飛び出そう 心に降る雨に 傘をくれた君と「まっぴら!」と横向いて 本音は裏腹 でも そのままでいい お互いさまだからめぐり会えた奇跡が You Make Me Feel Brand New

涙の色を変えた And I Wanna Love That's Brand New息が止まるくらいの 甘いくちづけをしようよ 一言も要らないさ 飛び切りの今を勇気をくれた君に 照れてる場合じゃないから 言葉よりも本気な LA.LA... LOVE SONGWanna Make LoveWanna Make Love Song, Hey Baby......Wanna Make LoveWanna Make Love Song, Hey Baby......知らぬ間に落としてた 小さなかけらを すきまなく抱きよせ 肌でたしかめあう宇宙の見えない夜 You Are My Shinin'Star かまわない 君が見える And I Wanna Be Your Shinin'Starまわれ まわれ メリ-ゴ-ラウンド もうけして止まらないように動き出したメロディLA,LA,LA,LA.LA... LOVE SONGとめどなく樂しくて やるせないほど切なくて そんな朝に生まれる 僕なりのLOVE SONG ため息の前に ここにおいでよ 息がとまるくらいの 甘いくちづけをしようよ ひと言もいらないさ とびきりの今を 勇気をくれた君に 照れてる場合じゃないから 言葉よりも本気な LA.LA... LOVE SONGLA.LA.LA...... Wanna Make Love Wanna Make Love Song, Hey Baby......

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